ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、本当に安価なのだろうか? 生活保護当事者にジェネリック医薬品を選択するよう求めることは、医療扶助費の抑制に役立つのだろうか?
今回は、医師の視点・薬剤師・医薬品開発の視点から、ジェネリック医薬品が「同じ効能で安くつく」と言えるものであるのかどうかを検証する。
「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の
利用促進を図る厚生労働省
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今回は、医療費削減の切り札として期待されているジェネリック医薬品(後発医薬品)について、医薬品開発の立場・医師の立場・調剤薬局の立場から、それが本当に医療費削減に役立つかどうかを検証したい。なぜならば、生活保護当事者に対する医薬品の処方は、ジェネリック医薬品を基本とする方向へと向かいつつあるからだ。2013年1月25日に公開された「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」にも、
「生活保護当事者が必要な受診を抑制することがないよう十分に留意しつつ、後発医薬品の使用促進などを含め、(不適正な医療扶助受給など)こうした問題にはしっかりと対応していくことが必要である(46ページ)」
という記述がある。
ジェネリック医薬品は
本当に安くつくのか?
ジェネリック医薬品は、医薬品の特許切れに伴って他社が製造可能になる医薬品である。主成分は、もともと特許によって保護されていた先発医薬品と同等で、一般的には先発医薬品よりも安価である。
安価な理由は主に、先発医薬品の開発に必要である膨大な研究開発コスト・先発医薬品に課せられる厳重な臨床検査コストが不要だからである。検査コストがまったく不要ということはないが、販売許可を得るために必要な検査は、先発医薬品に比べれば非常に少なく簡単だ。このため、ジェネリック医薬品の価格は、先発医薬品の20~30%に抑えることができる。ただし、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同じなのは、主成分だけである。不純物や賦形剤などは、先発医薬品と必ず異なる。この違いが、効能の違いやアレルギー反応につながる可能性もある。