そこで、Bさんが家(自宅)を売却した場合を試算してみます。

 自宅は立地も良く、土地の広さが60坪あり、周辺の市場価格は坪100万円と高めなので、6000万円程度で売却できると書かれています。今回はBさんが考える通り、6000万円で売れる前提で試算します。

 まずはその6000万円から、住宅ローンの残債(1500万円)と、親戚から自宅購入時に借りたお金を返済しましょう。

 今の家を建ててからかなり時間が経っていると考えられますので、親戚から借りた金額の残債は、自宅の価値(6000万円)の1割(600万円)まで減っていると仮定します。

 前述した6000万円から、これらの残債(計2100万円)を支払った残りは3900万円です。3900万円から教育費の不足分1188万円を差し引くと、残りは2712万円になります。

  この金額がそのまま老後資金になると言いたいところですが、Bさんが現在車を保有していることを忘れてはいけません。

 安全面を考慮すると、車の買い換えが発生するはずです。1回当たり250万円とし、回数を3回とすれば750万円かかります。教育資金を差し引いた後の金融資産額(2712万円)から車の買い替え費用750万円を差し引くと、残りは1962万円になります。

 老後の家計をさらに安定させたいのであれば、車をどこかのタイミングで手放すことも視野に入れてみてください。

 Bさんが仕事を引退するタイミングは、第2子がまだ3歳ということを考えれば、65歳ではなく70歳の方が安心かもしれません。

 4歳年下の奥さんもBさんがリタイアする年齢まで働き、公的年金が支給されるまで家計収支で赤字を出さなければ、老後資金に回せる金額が1962万円から減ることはありません。

もし引っ越す場合は
今よりも住居費を抑えるべし

 もし退職金が支給される場合、老後資金は増えるので、家計はさらに安定するでしょう。

 また、家を売却した後の転居先は未定のようですが、新しく住む家の住居費を節約すると老後資金をもっと積み増すことができるのは間違いありません。

 引っ越し先の住居費(月額)の目安は、現在の「住宅ローンの返済額+親戚への借入金返済額」を下回っていることです。

 この範囲内に住居費が収まれば、少なくとも仕事を引退するまで家計収支は黒字になりますので、老後資金はさらに余裕ができるでしょう。

 今回の試算では、あまり趣味や余暇について触れませんでしたが、金融資産が多ければ多いほど、家族旅行などに割ける金額が増え、お子さんたちとの思い出も増えるはずです。