「自分の子かも?」と思った人へ、生き方のヒント
自分の好きな世界ばかりに固執してしまうのは、お子さんにとってはそこが一番安心していられる世界だからです。
逆にそれ以外は、とても不安に満ちた居心地の悪い世界なのかもしれません。
だから強引にこっちの世界に引きずり出すのではなく、まず時間をかけてお子さんの好きな世界の話を聞いてあげてください。
そうしたら、少し外の世界をのぞく勇気が出てくるかもしれません。
2022年12月の文部科学省の調査結果では、通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があることが明らかとなりました。
また、19年の文部科学省の発表では、通級指導教室に通う児童生徒のうち、発達障害にあたるADHDの子の数が13年間で約15倍、ASDの子が約6.5倍に増えていたことがわかりました。
発達障害の人は決して特殊な存在ではなく、あなたの周りにもおそらくいるであろう、ちょっと個性的な特性を持つ人にすぎません。
そして、発達障害による特性は、成長とともに収まってくることが決して少なくないのです。とくに子どもの場合は、ご家族が気長に、温かく見守り、手を差し伸べることが大切です。
岩瀬利郎(いわせ・としお)
精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授/日本医療科学大学兼任教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。著書に『心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版』、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(ともに共著、翔泳社)など。メディア出演に、テレビ東京系「主治医が見つかる診療所~寝起きの悪い人と寝起きのいい人の体は何が違うの~」、NHK BS プレミアム「偉人たちの健康診断~徳川家康 老眼知らずの秘密~」など。