イノベーションを起こすのは難しいのか?
どのような企業も、新しいプロダクトを世に出そうと必死になっています。ではゲーム機の開発のように大企業が大規模な開発費をかけないと、イノベーションは起こせないのでしょうか?
私はそうではないと思っています。
新しい価値をお客様に提供するという広い意味でのイノベーションで考えてみて、画期的な発想を自社のプロダクトに当てはめればいいのです。
「理央さん、でも、新しい発想ってなかなかできないじゃないですか」
とよく聞かれることがあります。実は私も以前はそうでした。
ヒット商品につながる新しく画期的な発想が出てこないのは、「思考が停止」してしまうからです。思考がストップするのは、大きくわけて2つの要因があります。
◎固定観念と、
◎過去の成功体験
が、自由な発想を阻んで、思考を停止させてしまうのです。
「そんなの売れるわけないよ」「こうに決まっている」という固定観念と、「うちの会社では以前この商品で成功したんだからそんな新商品、売れるわけないよ」という過去の成功体験で、画期的な発想は製品開発の初期の段階で潰されてしまいます。
いちご大福というプロダクトがあります。生のいちごが入っている大福で、もちの中に入っているあんこといちごの甘さが不思議にマッチしているので私も大好きです。
初めていちご大福を作った方も、「大福の中に生のいちごなんて入れても美味しいわけがない」という固定観念があったり、「うちの店は創業以来、大福が売れてここまで来たんだから」という過去の成功体験にとらわれていたら、あのいちご大福は生まれなかったのではないでしょうか?
いちご大福は、「いちご」と「大福」という世にある製品同士を組み合わせたプロダクトです。このように、既存のプロダクトを組み合わせることで新しい価値を創造することを、経済学者のシュンペーターは「新結合」と呼んでいます。
アップル社のヒット商品のiPhoneも、「携帯とネットとiPod」を組み合わせたプロダクトです。もちろん指一本で使えるシンプルな操作性が加わり、ヒットにつながっています。
ここでも、「スマホには数字や文字のボタンがあって当たり前」という固定観念や、「うちはPCと音楽配信で成功してきたんだから」という過去の固定観念への強すぎるこだわりがあったなら、iPhoneは生まれなかったかもしれません。
ここで重要なことは、
1. イノベーションは設備投資や画期的な技術革新だけを指すのではない
2. 「意外」なものどうしの組み合わせである
ということです。1に関して言えば、誰にでもチャンスはあるということです。また、2に関して言うと、固定観念にとらわれることなく自由な発想をすることで新結合となり、ヒット商品につながることになります。
つまり、ヒット商品につながる画期的な発想は、誰にでもできるということです。