値上げに失敗した日本企業は
今後「淘汰」されてしまう

 まず前提を先に申し上げておきますと、これから先、日本企業は値上げに成功する企業しか生き残ることができません。

 これまで日本は20年以上にわたってデフレ経済を経験してきたので、一時的にコストが上昇しても値上げをせずに頑張っていれば、他のコストが下がったり、企業努力で生産性を上げたりすることができ、結果的に一部のコスト増は吸収できました。

 しかし、今回の状況は違います。世界的にインフレが起き、円安も加わって原材料の国際価格は円建てで考えると高騰しています。少子化による若年層の人口減はこれから加速していきますから、労働力の確保にもコストがかかります。我慢をしているうちにコストが自然に下がることはありえないのです。

 ですから、ほとんどの企業が今、値上げ方法を模索しています。

 宅配ピザのように消費者を直接相手にする企業にとっては、値上げによって消費者がどれだけ離れていくか、その読みが成否を分けることになります。

 そこで今回の記事では、宅配ピザの顧客は値上げでピザ離れを起こすのかどうか、経営戦略を立案する手法を用いて、このことを考察してみたいと思います。

 まず、値上げが成功するかどうかを考えるための切り口として今回は「宅配ピザの利用者の理解」から入りたいと思います。ピザの利用は比較的わかりやすい題材とみえて、ネット上でたくさんのアンケート調査が公開されています。