宅配ピザの経営は
一部のヘビーユーザーが支えている

 実は宅配ピザの利用者は、一般の外食の利用者とは大きく傾向が異なります。まず第一によく使う人が少数派だということ。3カ月に一度以上のペースで宅配ピザを使う人の比率は日本の人口の1割強に過ぎません。しかし、この層がおそらく宅配ピザの年間売り上げの7割程度を注文しています。

 ファミレスを使う人やコンビニを使う人たちと違って、宅配ピザは特定のヘビーユーザーが使うことで成り立つ商売なのです。

 ちなみに私は、その少し外側にいる「年に1~2回、宅配ピザを利用する」消費者に相当します。この層はざっくりというと人口の2割です。それなので、私は心情的には頻繁にピザを注文する人の気持ちはわかります。

 たとえるとこんな感じでしょう。ピザはおいしいので、私でもたまには食べたくなります。この感覚がすしやそば、とんかつやカレーと同じくらい「ピザも好きだ」に寄っている人がピザ業界のメインの消費者です。

 ファミレスでもピザは注文できるのですが、小さいですし、おそらく冷凍品なのでしょう。どうせ食べるのであれば宅配ピザ店の焼きたてのピザの方が圧倒的においしいと思う、そんな人たちです。

 ピザは冷めるとまずくなります。それを考えると、宅配が圧倒的に便利です。到着する時間に若干の(前後20分程度の)時間差がありますから、日々の夕食には若干向かないところがあります。たとえば夫婦で、映画やスポーツ中継を見ながら前菜代わりにポテトチップスなどのスナックをつまんでいるうちに、ピンポ~ンとドアベルが鳴ってピザが到着するような日が一番向いている気がします。

 わが家はその点、「今日は夕食の支度とかやめて、映画でも見ながらピザを食べようか」というシチュエーションが少ないので「年に1~2回」の層に入っているのですが、そういう日が多いご家庭、たとえば来客が多くてビールでも片手にワイワイガヤガヤやる日が多い家の場合は、「今日はおすし」「今日はピザ」という具合に、宅配ピザが生活のレギュラーを占めるのはよく理解できます。

 さて、私のように宅配ピザが準レギュラー(年に1~2回)の人と、レギュラー(年に4回以上注文する習慣がある)の人には、これから説明する点で「ピザの注文体験」に大きな違いがありそうです。

 実は、利用者が「宅配ピザを注文する理由」を調べると他の業界にはない、ある特徴があるのです。