23年春闘、連合第4回回答集計は賃上げ率3.69%増

 コロナ禍をきっかけに、世界全体でデジタル化も加速した。足元では鈍化しているが、一時はIT先端分野の企業で採用が急増した。優秀な人材を確保するために、賃金を積み増す企業も増えた。

 加えて、わが国では、物価が上昇する中で労働者の生活を守るために、政府要請に基づく賃上げも進んだ。4月13日に連合が発表した23年春闘の第4回回答集計によると、平均の賃上げ率は3.69%増(昨年同時期に比べ1.58%ポイント上昇)だ。今春の春闘では、一部企業が大幅な賃上げに踏み切った。

 小売り分野ではイオンがパート従業員約40万人を対象に7%程度の賃上げを表明した。大手製造業や金融など非製造業の分野でも、新卒学生など広範な世代を対象に賃金を引き上げる企業が増えている。あるいは、学び直しのために休暇制度の拡充など支援体制を強化する企業も増えている。大企業に比べると賃上げは容易ではないものの、中小企業も人材確保のための賃上げが不可避の状況だ。

 そうした状況下、人事院は今夏の勧告に週休3日を含めようとしている。民間企業に見劣りしない就業環境を整備するためだ。具体的には、育児や介護に限定している週休3日制を見直し、フレックスワークを活用する。それによって一定の就業時間を確保しつつ、個々人のライフスタイルに合ったより満足度の高い働き方の実現を目指している。

 加えて、国家公務員の給与水準の引き上げも急務といえる。4月24日から6月16日まで、人事院は民間企業の給与実態調査を行う。その上で、今夏の人事院勧告で民間企業全体に見劣りしない給与水準の実現を目指している。

 なお、昨年度の人事院勧告でも、人材確保、育成、勤務環境と給与水準のアップデートが急務であることが明記された。わが国の政策立案、運営、さらには主要国との政策連携などのために、国家公務員の働き方改革と待遇の向上が不可欠だという人事院の考えは、重要性を増している。