会社や社会から課された目標は、いわば“勝ち負けを決める目標”です。それだけを目標にすると、たいていの人は“壊れて”しまいます。だからこそ、自分を損なわないような考え方を持っておくことが大事です。軸になるのは「人生のかじ取りを他人に任せない」こと。今回は、「他人と競争しない目標」の大切さとその実践法についてお伝えします。(作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授 和田裕美)
“勝ち負けを決める目標”だけでは壊れてしまう
4月は多くの企業で新年度が始まったり、新人の入社や部署異動があったりと、新たな目標に向けて歩み出す人が多いでしょう。しかし5月になると、会社から課される目標にプレッシャーを感じて、憂鬱(ゆううつ)な気持ちになりやすい時期ともいえます。
けれど、鬱々とした気分で過ごしていると、余計に目標は重くのしかかってきます。私はビジネスコンサルタントとしてたくさんの企業向けの研修を行う中で、理想と現実のギャップに苦しむ人を大勢見てきました。
目標には二つの種類があります。(1)会社や社会から課される目標と、(2)自分で決めた個人の目標です。前者は例えば、営業職なら売り上げのノルマ、生産管理部門であれば歩留まり率などが数字目標として課されますよね。
そうした目標が未達成だと自信もなくなり、会社や上司からの評価が芳しくないと、自分の居場所がないように感じることもあります。そしてその状態が続けば、「仕事のできない人」の烙印(らくいん)を押されることになります。冷たいようですが、会社の目標とはだいたいの場合そういうものなのです。
「自分はダメな人間なんだ」「優秀な人が疎ましい」――。そんなふうに自分を卑下したり、人をねたんだりし始めると、どんどん“負のスパイラル”にはまってしまいます。
そうして「ダメな自分が結果を出せるはずがない」といった思い込みばかりが育ってしまい、やる気もなくなっていくのです。つまりは余計に目標達成から遠ざかるのです。
会社や社会から課された目標は、いわば“勝ち負けを決める目標”です。それだけを目標にすると、たいていの人は“壊れて”しまいます。
だからこそ、自分を損なわないような考え方を持っておくことが大事です。軸になるのは「人生のかじ取りを他人に任せない」こと。今回は、「他人と競争しない目標」の大切さとその実践法についてお伝えします。