国家公務員の「週休3日制」が検討されている。人手不足が深刻化する中、優秀な人材を確保するには、働き方改革が急務となっている。人材獲得競争が熾烈化する一方、働き方改革を実行する体力のない中小企業や自治体などは、状況の厳しさは増すだろう。人材を確保できる事業者や機関と、できない組織の栄枯盛衰が鮮明になりそうだ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
人事院が目指す国家公務員の働き方改革
最近、人事院(国家公務員の採用試験の運営や、給与など勤務条件の改定などを国会や内閣に勧告する行政機関)が、「週休3日制」を可能にする法改正を検討しているという。なお、週休3日の運用にあたってはフレックスタイムの利用が前提になる。今夏に出される人事院勧告に、こうした内容を盛り込むもようだ。
背景には、わが国における人手不足の深刻化がある。政府は、優秀な人材をより多く獲得し、より長く活躍してもらいたい方針だ。2023年2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.34倍で、前年同月(1.21倍)を上回った。依然として労働市場では売り手市場が続いている。人口減少が進む中、優秀な人材を確保し、各種政策を立案・施行するためには、国家公務員がより働きやすい環境を整備しなければならない。
同じことは、民間企業にも当てはまる。中長期的に、わが国経済全体での人材獲得競争は、一段と熾烈化するだろう。それに伴い、人材を確保できる事業者や機関と、できない組織の栄枯盛衰が鮮明になりそうだ。いかにして必要な人材を確保し、育成した上で長期にわたって活躍してもらえるか、官民全体でさらなる給与水準や就業制度の変革が必要だ。