「朝鮮学校は北朝鮮のスパイ養成所」
上念司氏の発言はヘイトスピーチだったのか

　2月21日、大阪・MBSラジオの番組「上泉雄一のええなぁ！」において、経済評論家の上念司氏が、朝鮮学校を「スパイ養成的なところもあった」とした発言だ。

　この発言にすぐ反応したのは、在日本朝鮮人人権協会傘下の関西3団体（在日本朝鮮人大阪人権協会・在日本朝鮮人兵庫人権協会・在日本朝鮮人人権協会京都協議体）だった。上念氏の発言が「ヘイトスピーチ」だというのだ。公共性・公益性のあるマスメディアであるラジオ放送において、こうした発言が放送された事態の重大性に鑑みて、MBSラジオ社を相手に、抗議行動を起こした。後にMBSラジオは謝罪会見を行い、上念氏の降板を発表するに至った。

　確かに「スパイ養成的なところもあったり」と発言しているのだが、抗議されていたように本当にこれはヘイトスピーチだったのか？　少し長くなるが、問題の箇所を書き起こしてみよう。

　北朝鮮がミサイルを発射したことを受けて、「日本政府にできることは？」と聞かれ、上念氏は次のように話した。

「全然、やることいっぱいありますよ。今回、日米合同訓練をやりましたよね。（ミサイルへの）報復でね。プラス、朝鮮総連ですよ。朝鮮総連がリソースなので。いろんな意味でのリソース。お金もそうだし、人もそうだし、物もそこから出ている可能性があるので。朝鮮総連に対する監視を厳しくする（必要がある）。

この手の独裁国家にありがちなのですが、子どもを巻き込むんですよ。子ども。朝鮮学校という学校が、まさに独裁者の金正恩を礼賛する教育をやっていて、文化祭の出し物とかで「金正恩様すばらしい」みたいなことをやっている。それを平壌まで見せにいくようなこともやっているわけですよ。

これ、いいんですか？　公的助成なんてとんでもない話だし、さらにここのOBが日本人の拉致に関わったりしているんですよ。スパイ養成的なところもあったりとか。こういうの、やっぱり、ガチで査察を入れたりとかしないと……。

いいんですよ、民族教育的なことをしても。民族教育をやるのはいいんだけど、独裁者を礼賛したりとか、国民を苦しめているやつを、素晴らしい指導者だとウソを教えるのはさすがに違いませんか。

朝鮮総連をきっちり、マネーロンダリングを含めてきっちりと監視し、締め付けをすること。朝鮮学校の子どもさんが巻き込まれているので、この現実をしっかり考えてもらう。

朝鮮学校の子どもたちが工作活動に巻き込まれている可能性がある。在日朝鮮人の子どもたちが巻き込まれないようにしてほしい（以下略）」

　前後の話をよく聞けば（読めば）、これは北朝鮮へのヘイトスピーチではなく、朝鮮学校に通う子どもたちを心配して発したものだと分かるだろう。北朝鮮が国家としてやっていることを非難した上で、朝鮮学校の子どもたちが工作活動に巻き込まれることを心配しての発言だ。