当たる確率1%
100回引けば1回は当たる?
これをより身近な例に当てはめて考えてみましょう。スマホのソーシャルゲームではアイテムを「ガチャ」と呼ばれるくじで引きます。このガチャでは、一番いいアイテムを引く確率はだいたい数%ぐらいです。SNS上では「100回引いても当たらなかった」といった悲しい投稿をよく目にします。
たとえば、レアアイテムを引き当てる確率が、1%だったとします。このとき、100回引けば、必ず1回はレアアイテムを引き当てることができると考えてよいでしょうか。
答えはノーです。1回引いてくじに外れる確率は0.99ですから、100回引いて100回ともくじに外れる確率は0.99の100乗になります。この値を計算すると、0.366……ですから、100回引いてもレアアイテムを引き当てることができない確率は、約37%にも達するのです。逆に、100回くじを引いて、少なくとも1回当たる確率は「1-0.366=0.634」、つまり約63%なのです。
さらに、注意が必要です。それは、たとえどんなにくじを引き続けたとしても、当たる確率は決して100%にはならないということです。それは、0.99を無限にかけ算しても、決して0にはならないからです。ちなみに、この場合、少なくとも1回当たる確率が99%以上になるのは、なんと459回以上引いたときだということが計算からわかります。
同様に、当たる確率が20%だったとしても、5回引いたからといって、レアアイテムを引き当てられるわけではありません。この場合も計算してみましょう。5回連続外れる確率は0.8の5乗≒0.33ですから、5回に少なくとも1回レアアイテムを引き当てる確率は「1-0.33=0.67」、つまり約67%ということになります。
ガチャを引く画面は射幸心をあおる演出が入っているので、つい限度を忘れてお金を投じてしまいがちです。そういった失敗をしないためにも、数学的な思考力を武器に、冷静な判断ができるようにしましょう。