SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する(本編は書籍には収録されなかった番外編です)。(初出:2022年2月15日)
そこそこ「絵が上手い」という自意識と承認欲求
自分でいうのもなんですが、私は絵を描くのがそこそこ得意です。
短時間でパッと描く、というのはできないけれど、時間をかければそれなりのものは描けます。
レベル的にはこんな感じ。
ね、うまいでしょ?
……
……
あ、今、「いや、別にいうほどうまくねーじゃん」と思ったそこのあなた。
はい、正解でございます。
そうなんです。
「そこそこ」なんですよ。
ものすごく「そこそこ」なんですよ。私のうまさって(ものすごくそこそこってなんや)。
一般人に比べたらまあうまいほうに入るけど、自慢するほどでもプロになれるほどでもない。草野球チームの二番手って感じ。
でも職場とかでふと絵を描く機会とかがあったりすると、「へー、絵うまいんだね!」とちょっと驚かれるレベル。
今回は、この程度の絵のうまさの女というのは一番、肥大化した自意識に苦しめられて将来について思い悩んでしまう可能性が高いので気をつけて!!! というお話をしようと思います。
え、ちょっとでも絵うまいんだったらいいじゃん特じゃん、と思われるかもしれません。
違うんですよ。
マジで。
違うんですよ!!!
中途半端に「絵が上手い」と言われて育った人間というのはあれやこれやのプロセスを経た結果プライドが高く、こじれた自意識を持って苦しんでしまうことが多いんですよ!! とくにゆとり世代は!! 平成生まれは!!
私も日々存在感がありすぎる自意識と承認欲求とともになんとか折り合いをつけながら生活をしておりますが、もしかしたらこの自意識というのは小さい頃に絵を描いていた経験があるから生まれてしまったものなのでは? と最近の個人的な研究により気がつきました。