そもそも、マイナポイントの申請はスマホでできるのだ。わざわざ民間企業である銀行にまでPCを設置して、この端末を利用した者は皆無という有り様。普及に必死なのはわかるが、これこそ税金の無駄遣いだ。そんなある日、例の本部所管部署の担当から電話が入った。
「目黒課長ですか?マイナポイント申請用のPCが起動してないんですが、まさか、勝手に撤去してません?」
「そんなわけはない。言われた通りロビーに設置してありますよ」
「総務省から委託されている端末管理業者から連絡があり、そちらの支店の端末から信号が来ていないと言われてます。動いているか調べてください」
ロビーに向かうと、コンセントが抜かれPCの電源が落ちていた。おそらく先週末、館内の清掃作業を委託している業者の作業員が、掃除機をかけるときに抜きっぱなしで帰ってしまったのだろう。それにしても、誰も利用しない端末を無理矢理設置させ、正しく設置されているかどうか監視しているなど、この施策は誰が得するのか疑問しか残らない。
他行が断った子どもの口座開設を
M銀行が引き受けた理由
そして、2023年2月下旬のある日。
「今日はやけに口座開設が多いな。何だろう?」
検印に回ってくる口座新規申込書の山を見て疑問に思った。子どもの口座ばかりだ。
「課長、大変です。K銀行が子どもの口座開設を断っているらしいです。それでうちの支店に流れてきているんだと思います」
「断る?なぜ?」
「2月28日が、マイナンバーカードの申請締め切りなんです」
マイナポイント付与に関する申し込みの締め切りはまだ先なのだが、その前にマイナンバーカードを取得しなければならない。その取得申請締め切りが2月28日なのだ。後で知ったが、役所のマイナカード臨時申請窓口にも長蛇の列ができていたらしい。