この10年間の累計赤字額は854万円です。4000万円の金融資産から、この累計赤字額を差し引いた残りは3146万円。これが、パートに出た場合の75歳時点の金融資産の残高です。
なお、パートを辞めた75歳以降の年間赤字額は、先述した140万4000円に戻ります。上記の3146万円から、この金額を毎年取り崩していくと、22.4年後(Kさんが97歳頃)までは持ちこたえられます。
人生100年時代には若干物足りませんが、年を重ねて旅行の回数が減ったり、お孫さんが社会人になってお小遣いをあげる機会が減ったりし、先述した「臨時支出」が減る可能性も大いにあります。
このことを考慮すれば、おおむね人生100年に対応できるでしょう。
まとめると、(2)のケースでは上記のように「公的年金+勤労収入」が必須という結論になりました。
それでは、(1)(3)のケースについても簡単に試算していきます。
投資用マンションに自分が住むと
老後の家計はどうなる?
順番が前後しますが、まずは投資用マンションに住む(3)のケースです。
言わずもがなですが、賃貸に出している物件に住むと家賃収入がなくなってしまいます。その金額は毎月7万5000円・年間90万円です。
年間赤字額が90万円も増えるのはさすがに厳しいので、公的年金を受給しましょう。
公的年金の手取り額は、前述の通り毎月7万5000円・年間90万円。奇遇にも、家賃収入の減額分と全く同じです。
そのため、公的年金によって家賃の減収が相殺され、Kさんの年収は150万円のまま変わりません。
一方の年間支出は、(2)で算出した380万4000円(臨時支出も含む)から、URの家賃144万円(12万円×12カ月)がなくなるため、236万4000円まで減額されます。
年収は150万円、年間支出は236万4000円なので、年間赤字額は86万4000円です。
金融資産額の4000万円から毎年この金額を取り崩した場合、46.3年後(Kさんが111歳頃)まで持ちこたえられます。
余裕で人生100年時代に対応でき、パートを行う必要もありません。
お孫さんへの小遣いやご自身がやりたいことの費用を、さらに年間20万円増やしても、Kさんが102歳頃まで資産は底を突きません。(3)の選択は悪くないのではないでしょうか。
それでは最後に、お子さんと同居する(1)のケースです。