2:自殺

 自殺は孤独死に比べて心理的ダメージが一気に上がります。そもそも孤独死は病死など、本人の過失は追及できないのに対し、自殺については本来賃借人が果たすべき善管注意義務をもって部屋を保管する義務に違反していることになるので、生じた損害については相続人が賠償するしかありません。

 相続人からすると残酷な結末ですが、物件内で自殺するということはそういうことを意味します。

 また、賃借人ではなくて同居していた人が室内で自殺した場合についても、賃借人の責任を認めた事例が複数あります。これは転借人が自殺した場合も同じです。

3:殺人

 自殺よりもさらに心理的ダメージが大きくなります。例えば、賃借人が室内で知人女性を刺し殺して、その後自分も投身自殺した事例では、保証人に対して保管義務違反が認められた事例があります。対して、賃借人が室内で刺殺された事件では、賃借人に責任のない室内の破損や汚れについては原状回復義務がないと判断された事例もあります(平成13.1.31)。

4:その他

 最後に覚えておいてほしいのは、死亡以外にも心理的瑕疵に該当する可能性があるということです。具体的には「風俗営業としての使用」「火災発生」「土地に大量の廃棄物が広範囲に埋設されていた」「反社会的な宗教団体活動を行う団体のアジトだった」などが、心理的瑕疵に該当すると裁判で判断されたことがあります。

 私が企業さんから相談されたときに言っているのは、自分が後から聞いて文句を言いたくなることについては、必ず先に告知するよう伝えています。重要なことはトラブルをおこさないことなので、その点十分注意しましょう。