セルフでニオイを
確認する二つの方法

 例えば、「自分から加齢臭がしてきた」と自覚しても、脳がそのニオイに瞬時に慣れ、加齢臭がすることが当たり前になっていく。そしてニオイが強まっていくごとに「慣れ」のアップデートが積み重なり、自身から発生するニオイに鈍感になってしまうのだ。

 すでに自覚がある場合は別として、自分のニオイの質や強さに本人が気付くのはかなり難しい。石田氏の会社では自宅で体臭を評価できる体臭評価キットも手がけているが、こうした道具を使わずにチェックする方法を教えてもらった。

「ニオイに関して重要なのは『周りがどう思うか』ですので、勇気を出して人に聞いてみるのが最適解だと思います。この時、気になる部分があれば正直に教えてくれて、かつ、自分が『この人からなら厳しい言葉をかけられてもショックが少ない』と思える相手を選びましょう。家族やパートナー、親友などにお願いしてみてはいかがでしょう。

 自分一人で調べたいなら、1日着た衣類や数日使い続けた寝具など、長時間肌に触れていたアイテムのニオイを嗅ぐ方法があります。この方法を試す時は、まず嗅覚の順応を解くために、コーヒー豆やお茶など、体臭の脂っぽさや酸っぱさと無縁のニオイを嗅いで嗅覚をリセットしてから行ってください」

 こうしてニオイを発する場所が分かったら、次に対策だ。

「人のニオイは入浴直後が一番弱く、そこから時間の経過とともに強くなっていきます。『職場で不快なニオイを放っているかも』と気にされる人は、朝にしっかりシャンプーとボディーソープで全身を洗ってから出勤するのがおすすめです。夜のうちに発生したニオイを朝のうちにゼロにしてから出勤することで、会社にいる間に到達するニオイの強度を下げられます」

 入浴のほかに、これからの季節は汗をかいた直後のケアも欠かせない。

「汗や皮脂は、肌の上に分泌された直後は臭わず、時間がたって皮膚表面の常在菌の餌になることでニオイの原因物質へと変化します。だから、分泌直後の臭くなる前にボディーシートなどで拭き取るのがベストです。あとは、家を出る前に制汗スプレーなどで汗を抑えるように工夫するのも効果的ですね」

 同様の考え方で、口臭も歯垢(しこう)が悪臭の原因に変化する前に除去することが重要だ。追い打ちで洗口液を使って殺菌をすると、より効果が期待できる。

 体臭やたばこ臭がクサいのは、もはや自分だけの問題ではない。周囲の人間のメンタル面や、職場であれば生産性にも関わってくる。脱マスクを迎えた今、改めて自分自身のニオイと向き合ってみてはいかがだろうか。