誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy「精神科医Tomyきょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
苦しみが深まる原因
アテクシは現在40代ですが、30代の頃、本当に辛いことが重なって苦しんだときがあります。
「なんでこんな悪いことばかり起きるの」「なんでこんな酷いことをされるんだろう」と落ち込んで、なんとか立ち直ろうと理屈を並べて自分に言い聞かせるのですが、腑に落ちることなく、苦しみが続きました。
そのときの経験を振り返ってみて思うのは、気持ちを割り切ろうとすればするほど、苦しみが深まるということです。
割り切ろうとする落とし穴
納得のいかないこと、理不尽なことは、いくらでもあります。そんな状況に陥ると、自分を納得させようと理屈をつけて、気持ちを割り切ろうとしたがるものです。
しかし、それがそもそもの間違い。人の気持ちなんていうものは、それが自分のことであろうが、理解できない、解釈できない、割り切ろうとしても、割り切れない。
それなのに白黒をつけて決着をつけたがるのですが、そうすると逆にそのことに心を囚われるようになります。
あるがままに“放っておく力”
割り切ろうとすればするほど、そのことへの執着心が深まります。ならば、どうすればいいのかというと、あるがままに放っておくことです。
そもそも自分の気持ちというのは、割り切れない。割り算みたいに2とか3とかで、スパッと割り切れたら、逆に気持ち悪いですよね。人の心はデジタルではないのです。
ふとモヤモヤすることが頭に浮かぶことがあるのなら、「頭に浮かんだときになんとかすればいいや」ぐらいの認識で放っておいてください。
放っておいても問題は生じない
割り切ろうという思い、つまり執着を手放そうとすればするほど、その執着を増幅してしまいます。もともと割り切れないものは、そのまま「こういうもんだ」と認識しておくことが、すごく大事です。
モヤモヤして気持ちが揺らぐというのは、“生きている証拠”です。そういう経験をすることによって、“人間的な深み”が出てくるともいえますし、放っておいたところで何も問題は生じません。
そして、モヤモヤを放っておけることが、心の成熟につながっていくのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。