春は職場に新入社員や異動者が加わり、コミュニケーション量が増える時期。しかし、気配りにかけた残念なコミュニケーションで、信頼を損ねてしまっているケースが見受けられます。伝え方を少し工夫するだけで、部下との信頼関係がスムーズに築けたり、上司との距離がぐっと近づいたりします。今回は、『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんが、「多くの人がやってしまいがちな残念過ぎる伝え方」のワースト3を紹介。NG例を反面教師にした「伝え方」のコツを教えてくれました。(構成/伊藤理子 撮影/石郷友仁、小原孝博)
■ワースト3:「評価しているのに、それが全く伝わっていない」
部下に相談や確認をされたとき、気軽に「いいと思うよ」と返す上司は多いと思います。「この企画書どうですか?」「いいと思うよ」、「次の商談はこの段取りで行こうと思うんですが」「いいと思うよ」…というように。
上司からすると、本当にいいと思っているからこう伝えているのでしょうが、部下からすれば「言い方が軽い」「評価されていないのでは」「そもそもちゃんと聞いてくれている?」などとネガティブな印象を受けます。
上司世代は、若手時代に褒められた経験が少なく、褒めるのが得意ではない人が多いようです。とはいえ、せっかく高く評価しているのに、相手に低評価のように伝わってしまうようでは、信頼関係は築けません。部下のモチベーションも下がってしまうでしょう。
では、何と伝えればいいのか。お勧めしたいのはこのような伝え方です。
◎「おおお! いいと思うよ!!」
これは、伝え方の技術「サプライズ法」を使っています。
サプライズ法は、伝えたい言葉に、驚きを示す「サプライズワード」を入れるだけで、相手に強いインパクトを与える伝え方。例えば、「すごい!」「おおお!」「びっくり!」などの言葉を加えるだけで、相手は認められたと感じ、嬉しくなります。
この例も、「おおお! いいと思うよ!」と感情を込めたサプライズワードを加えているだけですが、「高く評価している」という思いがより強く伝わり、部下のモチベーションも上がるでしょう。
このサプライズ法は、メールやLINEなどでも効果を発揮します。部下から企画書が送られてきたとき、本当にいいと思うならば「いいと思うよ」とそのまま返すのではなく、「いいと思うよ!!!」とビックリマークを2~3個加えて返信してください。部下に与える印象がガラリと変わりますよ。
「いいと思うよ」だけでなく、「お疲れさま」も誤解を生みやすい言葉です。例えば、商談を無事に終えたときや、プロジェクトが1つ終了したときなどに、部下に「お疲れさま」という言葉をかける人は多いと思いますが、部下からすれば「一生懸命頑張ったのに、それだけか」と残念に感じてしまうケースがあるようです。部下の頑張りをねぎらい、さらに成長してほしいのであれば、「お疲れさま」だけではインパクトが弱すぎます。
こんなときは、こう伝えるといいでしょう。
◎「佐藤君の頑張りのおかげで成功したよ!」
たとえここまで思っていなかったとしても、頑張りを認めてあげたいならばこれぐらいのことを伝えてあげましょう。「~のおかげで成功した」というサプライズワードで思いを伝えれば、部下のやる気はぐんと上がるでしょう。