ハイグレードなポジショニングを
走るほどに実感

 走りは上質にして骨太。車重が1.7トンを超えるものの加速は力強く、的確なシフト設定と相まって、まさに走りは意のまま。SUVらしい高めの着座ポイントから周囲を見渡し、アップテンポのドライブを満喫した。静粛性は高水準。各種騒音が抑えられ、結果的に心地よいエンジン音が印象に残る設定は、ドライビングのリズムを作りやすい。

 今回は、オンロードに限っての試乗だったが、その走りはオフロードを含めた長距離クルーズに連れ出したいと感じさせた。スケールの大きなキャラクターは、ドイツ車ならでは。陸続きの欧州で鍛え上げられた実力を改めて実感した。“コンチネンタル・ツーリング”という言葉がふと頭に浮かんだ。

 感心したのは、上質な乗り味である。ファットな20インチタイヤにもかかわらず、快適性はハイレベルだった。これは電子制御ダンパーの効果だけでなく、堅牢なボディ、しっかりとした座り心地のシートなど、すべてをきちっと作り込んでいるからこそである。TロックやTクロスが誕生し、ティグアンは、いまやVW・SUVラインのトップモデル。そのハイグレードなポジショニングを、走るほどに実感した。

 ティグアンのボディサイズは日本でも持て余さない全長×全幅×全高4520×1860×1675mm。その中に5シーターの余裕ある室内&ラゲッジ空間を実現し、さらに4WDのオールマイティ性能を盛り込んだTSI・4モーションは、行動派ユーザーに最適な選択肢。使い込むほどに“いいクルマを購入した”と実感するに違いない。

(CAR and DRIVER編集部 横田宏近 写真/小久保昭彦)

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