2.岩倉の乳房杉[隠岐の島町]
最近の研究で、隠岐は氷河期時代にさまざまな植物の“逃避地”であったことが判明しつつあります。現在隠岐に見られる杉の祖先もそのひとつで、当時陸続きだった本州から寒さを逃れるために避難し、生き延びたものと考えられています。
樹齢約800年といわれる岩倉の乳房杉(ちちすぎ)は、隠岐の自然を象徴する存在。樹高約40m、幹囲約11mの巨大な杉で、主幹は地上3m部で15本に分岐しています。大小24個の乳房状の根が垂れ下がったその特徴的な姿容からその名がつけられました。
岩倉の乳房杉は八百杉(やおすぎ)、かぶら杉、マドスギと並ぶ島後の四大杉のひとつ。隠岐最高峰・大満寺山の東麓にあり、近隣一体の山を守る御神木としてあがめられています。
3.摩天崖[西ノ島町]
摩天崖(まてんがい)は、隠岐の中でも最も壮大な自然風景のひとつです。その名のとおり、崖は空まで伸びているかのような高さ。何十万年もの歳月をかけ波風に削り取られて形成された海抜257m、実にビル70階建てに相当する大絶壁は、ここが日本であることを忘れてしまうほどのスケール感ある絶景をつくり出しています。
全景を見渡すのであれば、摩天崖の上から国賀浜の通天橋までを結ぶ約2.5kmのトレッキングコースを歩くのがおすすめ。のんびり草を食む牛馬を横目に見ながら(驚かせると危険なのでむやみに近づかないように)、眼下に広がる奇岩を目指して空中散歩へと出かけましょう。
時間に余裕があれば国賀めぐり定期観光船もぜひ体験を。摩天崖や国賀海岸の奇岩といった壮大な風景を続けざまに観賞できるクルーズは、必ずや隠岐旅のハイライトとなるでしょう。波が穏やかな日には明暗(あけくれ)の岩屋という洞窟内に入ることもできます。