中国は、韓国政府の関係者が「度を越す」と批判した後、議論になった発言を擁護したり、官営メディアなどを通じて対立を助長する動きを強化している。

 今年4月に汪文斌報道官が「中国の内政問題(台湾)に口出しするな」と発言したことに対し、韓国外交部はケイ大使を招致して中国の一方的な発言に抗議した。すると中国は約1カ月にわたり官営メディアを動員して「韓国外交の国格が粉々になった」などとして、中国内の反韓感情を助長した。これも同じ行動である。

韓国の革新系メディアも
中国政府の姿勢を批判

 しかし中国は、韓国の革新系メディアも含めて中国の姿勢に批判的になっていることを見逃している。

 革新系メディアのハンギョレ新聞は、中韓外交部の抗議合戦について、「中国は米国に傾倒する尹大統領の対外路線に慣例を超えるレベルの高圧的態度を示している」「中国は習近平国家主席が政権3期目を始めて以来、戦狼外交を控えてきた。しかし、韓国には戦狼外交を連想させる強硬路線を取っている。これは韓国が韓米日協力を強化するなど中国を圧迫する対外路線を採択すると同時に、中国が核心利益と見なす台湾問題に繰り返し言及したためだと専門家たちはみている」と報じている。

 ハンギョレ新聞は、中国の姿勢に反対する韓国政府に対して批判的ではあるが、一方で中国の戦狼外交にも批判的になっていることは新しい動きである。

中国への卑屈な行動により
李在明代表の立場が困難に

 国民の力は、李在明代表とケイ海明中国大使との会合に対し、3日連続で攻撃を続けた。

 国民の力の金起鉉代表は、10日、李在明代表に対し、「国のために犠牲となった軍人などの護国英雄の御霊に対し敬意を表することなく冷遇する。これに対し、韓国を侵略した中国の大使の前では従順に両手を合わせてぺこぺこする姿を見ると怒りがこみ上げる」と批判した。

 さらに11日には、フェイスブックに「大韓民国院内第1党代表が中国大使の家に訪ねていって屈辱を受けても抗議の一言もできないのに、何の『国益外交』をしたというのか」と批判した。

 李在明代表は、国民の力ばかりでなくメディアからも、その中国に対する卑屈な行動について批判されている。

 李在明代表もさすがに耐えかねたのか、10日、明洞(ミョンドン)で開かれた6・10民主抗争記念式典後に記者団と会い、「中国政府のそのような態度はしかるべきものではない」と中国にへつらう姿勢を一歩後退させた。ただ、李在明代表は「国益を守るために(中国と)共同協力する方向を見つけることが最も重要だ」として自らの行動を正当化した。