中国大使としての
職務は果たせない可能性

 ケイ海明中国大使の戦狼外交は、韓国国内で大きな反発を受けている。たとえ、その発言内容が中国政府の立場であるにせよ、それをうまく韓国側に伝えるのが大使の役割である。しかし、ケイ海明中国大使は、李在明代表を中国の味方と考えたのか、韓国政府に対して高圧的に発言し、民主党はそれをSNSでライブ配信。これは直ちに、韓国政府、メディア国民の反発を受けた。

 これによって当分の間、韓国の人々はケイ海明中国大使を敬遠するだろうから、中国大使としての職務を果たせなくなるだろう。

 国民の力の金起炫代表は、在中国大使からの夕食の招きに応じないことを決めた。李在明代表とケイ海明中国大使との会談の内容が民主党のSNSでライブ配信され、その内容を見て決めたという。

中国は韓国との
外交姿勢を見直すべき

 韓国国民は、日米との協力で北朝鮮の核・ミサイルに対抗しようとする尹錫悦政権の外交を評価している。逆に中国は「北朝鮮をかばう国」とし韓国国民の信頼を失っており、「韓国国民が最も嫌いな国は中国」という世論調査もある。

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 そこに来てのケイ海明中国大使の高圧的発言、および中国外交部による同大使の擁護姿勢である。尹錫悦政権の米国寄り外交が一層の信任を得ることだろう。

 趙太庸(チョ・テヨン)大統領室国家安保室長は9日、国家安保戦略研究院など4つの政府系研究機関が共催した学術会議で演説し、対中関係について「堂々とした外交を通じ、健全な韓中関係を構築していく」と述べた。さらに「尹政権は国益を中心に置き、原則と相互主義に基づいて国際社会と協力するグローバル中枢国家を目指す」とし「中国との関係も変わらない」と述べた。

 中国も対韓外交を健全なものに見直すべき時である。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)