人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」「やるべきことが多すぎないか…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「決断しないダメ管理職」のたった1つの特徴を解説する。(構成/種岡 健)
「線を引く」ということ
自分の責任に応じて「意思決定」をすることが、人の上に立つ人には求められます。
たとえば、次のような2つの意見が出るとしましょう。
「みんな話を聞いていません。スマホを置いてから会議に臨み、ちゃんと話に集中すべきです」
「発表者の発言には不確かな情報があることが多いです。なので、スマホで調べながら聞き、全員でデータを補強すべきです」
さて、あなたならどうするでしょうか。
どちらが正解かは、場合によって異なります。
その会議において、
「話を聞くことが優先事項なのか」
「情報の正しさが優先事項なのか」
どちらかでハッキリと線引きをします。
よくあるのが、線引きを曖昧にして、
「じゃあ、Cさんだけスマホを持ち込んでOKです」
と、例外をつくることです。
優しい人は、全員を納得させようとして、ここでブレます。
意思決定をして線引きをする。
それを守っていない人には、きちんと指摘する。
新しく入った新入社員や中途社員にも伝える。
明文化して、「言った・言わない」の問題を起こさない。
それが責任を果たすということです。
その負担に対して、マネジャーやリーダーとしての給料が支払われているのを自覚しないといけないのです。
過去の決まりも「私」を主語にして伝える
この話をすると、「命令はよくない」と反発されます。
たしかに、メンバーからの情報に耳を傾けず、好き嫌いや過去の経験で決めることは許されません。
しかし、情報を仕入れて、その上で「意思決定をする」のであれば、それは正しい。
そこに「責任」があるからです。
その後、その責任者がいなくなれば、次の人が決めればいい。
先ほどの「スマホ持ち込みのルール」が問題だと思うのであれば、責任者になったときに変えればいいのです。
ただし、責任者が不在になっても、ルールだけが残れば、それは「形骸化したルール」になります。
それは、見直すべきです。
過去に決まったことを、その意図もわからず引き継いだり、「昔からの決まりだから」と、リーダーが口にするのは、よくありません。
ダメな管理職やリーダーが口にする言葉です。
そうではなく、昔からのルールを検討して、今も必要だと考えるならば、
「今も必要なルールです。私がそう判断しました」
と、堂々と伝えればいい。
おかしな部分があるなら、変えればいい。
人の上に立つなら、主語は絶対に「私」であるべきです。
過去の決まりを思考停止して続けることは、責任を果たしていないのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)