「臨海地下鉄」は早くて2030年代半ば、運営事業者は?

 一方、臨海地下鉄計画は15年、都の資料で「整備すべき」とされ、16年には国の答申にも記載された。ゆりかもめとは対照的にステップアップを果たし、22年11月には小池百合子・東京都知事から東京駅~有明・東京ビッグサイト駅(いずれも仮称)約6km間の事業計画が発表された。建設へ向けての具体的な検討に入ったといっていい。

 なお、中央区は人口が現在の約17万人から今後10年間で22万人弱に増える予想を立てている。それら地元住民に必要な路線というだけでなく、有明・東京ビッグサイトでイベントが行われるときの重要な輸送手段としても需要が見込まれている。現状、「羽田空港アクセス線」(東京駅~羽田空港間)とともに、インバウンド(訪日観光)やMICE(ビジネスイベント)といった観光立国に向けたキーワードと並び、早期整備が期待される新交通網だ。ちなみに、「つくばエクスプレス」との直通なども構想されている。

 ただ、現時点で、どの鉄道事業者が運営するかは不透明だ。前述の吉田副区長も、22年11月に行われた「都心・臨海地下鉄推進大会」で、「コロナ禍で、新しい鉄道(臨海地下鉄)に手をかけようという事業者がダメージを受けている」と苦悩をにじませている。

 また、開業見込みは早くても30年代半ば。それまで晴海へのアクセスは連接バス「東京BRT」などに頼ることになる。5000戸超の大規模マンションである晴海フラッグができることなどを踏まえても、臨海地下鉄の“前倒し整備”は、検討に値するのではないだろうか。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
2段落目:「東京メトロ大江戸線」→「都営地下鉄大江戸線」
(2023年6月30日14:02 ダイヤモンド編集部)