ドコモ光とdカードの利用でさらに安い
新料金プランは「ドコモ経済圏」の入り口

 あくまでドコモを選ぶ人の場合、3つのプランのどれが最適なのかという話をしただけですが、この数字を見るとまだ、「他社のほうがいいかも」と思う人が多いのではないでしょうか。

 ワイモバイルとかLINEMOとかUQでいいじゃないと思う人は、この価格だけだと契約を乗り換える必要がありません。

 そこで戦略です。これ以上価格を下げていくと、他社との血みどろの競争になります。各社ともに価格を際限なく下げていくような状態になると、もうけることができません。そこで戦略としては、「特定の顧客だけ他社よりも安くなって、それが他社からひっくり返せない」ような状況を作り出そうとします。

 具体的にはドコモの場合は、ドコモ光とdカードへの加入でより割引になることを狙っています。

 要するに自宅に光回線を引くニーズがある人が多いのだから、その人たちがドコモ光を使ってくれて、かつどうせ支払いが発生するのだからdカードに入ってもらえば安くなるように価格設定をしているのです。

 さきほどの基本構造に、ドコモ光セット割とdカード割、さらにエクシモの場合は家族3人の家族割を入れると基本構造はこのように変わります。

・0.5GB未満(人口の1割程度):イルモで月額550円
・1~3GB(人口の5割弱):イルモで月額880円
・4~6GB(人口の1割強):イルモで月額1540円
・7~9GB(人口の1割弱):イルモで月額2090円
・10~20GB(人口の14%程度):アハモで月額2970円
・20GB超(人口の8%):エクシモで月額4928円

 これが、ドコモの戦略ターゲットになっている人たちにとっての価格構造です。

 この価格表を戦略的に読み解くと、さらに2つの戦略意図が透けて見えてきます。一つは、ドコモ光とのセット割を獲得できさえすれば、人口の8割弱にあたる月間9GB未満の消費者に対しては、それまで業界最安値だった楽天モバイルよりも安い価格でサービスを提供できる数字になるということです。

 そしてもう一つの戦略意図は、

「もしそれができなければ、ドコモショップの競争力はなくなる」

 ということです。