1時間ほど楽しい会話が続いたあと、那美さんは遅れた理由として、学費を滞納しており、このままだと大学を辞めなければならない状況であることを、大学の担当者と話していたと語りました。冷静に考えれば、日曜日に大学の関係者に呼び出されて、学費の話をするなどあり得ないのですが、中岡さんは信じてしまったようです。
その他にも賃貸アパートの家賃も半年滞納しており、育児放棄の親からの援助は望めず、中学3年生の妹の高校進学の学費も出してやりたく、那美さんは大学を卒業したいが居酒屋のアルバイトだけでは到底足りず、最終手段として風俗で働く覚悟があると言うのです。
「大学を卒業したら結婚して子どもが欲しい」という那美さんの言葉を信じ、中岡さんはその日のうちに彼女のためにお金を貸すことを決断し、取り急ぎ持っていた4万円を渡しました。その後、学費や家賃や生活費などの名目で数回に分けて、都合300万円ほど貸してしまったのです。
しかし、数日して彼女から唯一の連絡手段であるメッセージアプリの返信が来なくなり、何度送っても既読にならず、着信にも答えなくなったのです。ブロックやアカウントの削除はしていないものの、全く連絡が途絶え、彼女の自宅住所も知らず途方に暮れて私に連絡をくれたのでした。
女子大生の正体は?
意外な手がかりとは
私は彼の依頼を受け、まずは那美さんとのやりとりの内容や借金の経緯や人物像などを詳しく聞き出すために面談を行いました。
那美さんの情報は、名前、大学、バイト先のカフェ、実家の○○市までの住所、だけでした。
私は彼女の大学に調査に向かいました。彼女の在籍の有無や住所の登録情報を確認するために学生課を訪ねましたが、家族でもない私には個人情報のため教えてもらえませんでした。何人かの女学生に聞き込みをしてみましたが、那美さんのことを知っている人はいませんでした。