川勝知事がこれ以上、山梨県側から出る水について、静岡県に何らかの権利があると本気で主張するならば、芦ノ湖の水利権は、きちんと神奈川県へと返還すべきであろう。

 JR東海は、リニア工事でもし大井川の水量が減ってしまったら責任を持って対処するという方針だったが、川勝知事が「工事で出た水は一滴残らず戻すこと」、つまり全量戻しをしないと工事の許可を出さないと脅し、JR東海側に受け入れさせた経緯がある。

記者から「無理筋」との指摘も
会見のハイライトを紹介

 この全量戻しが、山梨県から出た水にまで適用されるという川勝知事の拡大解釈は、記者の間でも「無理筋」という指摘が今回起きた。今回の記者会見のハイライトを三つほど記そう。

(1)まずは、ダラダラと水の話を続ける川勝知事に対して、拡大解釈を記者が指摘したところだ。

(記者)静岡の水か山梨の水かという議論はしないが、水は返せということですか。

(知事)水は全部返すというのがJR東海の約束です。

(記者)JR東海の約束は、工事期間中の10カ月のことでありボーリング調査は絡んでこない。それは県の拡大解釈で、県が勝手に言っていることだけなので、それを聞いているのですけれども。

(知事)拡大解釈だとは思っていません。

 JR東海に無理やり押し付けた「全量戻し」を拡大解釈して、本体工事の準備である直径12cmのボーリング調査で出る「微量の水」さえも戻せと川勝知事は要求しているのである。難癖以外の何物でもない。