2024年の大統領選挙は
「消去法の選挙戦」に

 これに対し、共和党内でバイデン氏の対抗馬として最有力なのが、ドナルド・トランプ前大統領だ。

 トランプ氏も6月14日で77歳になり、十分に高齢者だ。ただ、前述したNBCテレビの世論調査(「大統領の共和党予備選挙が今日行われるとしたら、次の候補者のうち誰を第1候補として選びますか?」への回答)では、不倫もみ消しと機密文書持ち出しの2つの疑惑で起訴されて以降も、トランプ氏の支持率が圧倒的に高いことが明らかになっている。

 トランプ氏の場合、機密文書の持ち出しで起訴された6月のほうが、4月調査よりも支持率が上昇している。

 トランプ氏は、岩盤支持層と呼ばれる熱狂的なサポーター(共和党内の30~40%)をがっちり固め、中間的な有権者(共和党内の50%前後)からも支持を得ているのだ。

 この点から考えて、現状では、大統領選挙の構図が、またしてもバイデン氏対トランプ氏になる可能性が極めて高い。

 そうなれば、「失言製造機」と「暴言王」との再戦になる。言い換えるなら、「トランプ氏以外ならいい」対「バイデン氏よりはマシ」という判断しか働かない「消去法の選挙戦」になってしまうということだ。

 この事態を、アメリカの国際政治学者、イアン・ブレマー氏は、「見るに堪えない醜悪な戦いになる」(5月25日 日本経済新聞)と予測する。

 筆者も日頃、日本の政治を、「見るに堪えない。もっと生きのいい政治家はいないのか」と思いながら取材しているが、バイデン氏とトランプ氏の泥仕合を想像すると、「まだアメリカよりはマシか…」と思ってしまうのである。

(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)