健康問題以外にもある
バイデン政権の先行きへの不安

 バイデン氏にとって最大の敵は、「自身の健康問題」と、それにまつわる有権者の不安ということになるが、それ以外にも再選に向けた懸念材料はある。

○ベラルーシに戦術核を配備し続けるロシア
 ロシアが隣国ベラルーシへ戦術核を配備する中、7月11~12日にリトアニアで開催されるNATO首脳会合(日本の岸田首相も参加)などの場でリーダーシップを示せるのか、また、ロシアがウクライナに戦術核を使った場合、どのような対応をするのか。

○台湾統一へ着々と歩みを進める中国
 対外的には、6月27日、中国版ダボス会議を開いて、モンゴルやベトナムなどの首脳を招き、アメリカなどによる「デリスキング」(中国を排除する動き)に加担しないよう要請。国内的には、6月26日から全人代常務委員会で、愛国主義教育の立法化に着手。7月1日には恣意(しい)的に取り締まりを強化できる反スパイ法も施行させた。着々と手を打つ中国をこの先も抑え込むことができるのか。

○アメリカの景気減速
 高いインフレ率と高金利に消費と生産が持ちこたえ、ここまではアメリカ経済の堅調さを示している。ただ、この先、2022年来の利上げが景気を冷やし、景気後退に陥れば、バイデン政権が「バイデノミクス」で重視する中間層や低所得者層の底上げが難しくなる。新型コロナウイルスやインフレ対応で政府債務が増加する中、景気が後退局面に入ればどんな手を打つのか。