データがあてにならない中国は何を見る?

 最後に、米国や日本以外の諸外国における経済指標も取り上げます。

 米国に次ぐ経済規模を持つ国といえば中国ですが、中国の経済指標にはあてにならない部分があります。もちろんまったく無視するわけにはいきませんが、いかんせん共産党一党独裁の中国では、経済指標の中身をいじるくらい平気で行います。共産党政権に対する中国人民の不平不満が高まらないようにするためです。

 絶好調の数字が出れば「何か水増ししているのではないか」、景気後退のサインが出ていても「実際にはもっと悪いのをごまかしているのではないか」と受け止められ、それゆえに中国の経済指標は信ぴょう性に欠けると思われているのです。

 そういう状況ではありますが、中国政府ではなく、他の機関が作成・公表しているデータで代用するという方法があります。

 IHSマークイットという民間調査会社があり、JPモルガンなどグローバルな金融機関と協力して、さまざまな国のPMI(購買担当者景気指数)を作成しているのです。これを「マークイットPMI」と言います。そのなかにある中国のPMIをチェックするのです。また、HSBCという香港に拠点を置くグローバル金融グループも、中国のPMIを公表しています。

 もちろん中国政府も、自分たちでPMIを作成・公表しているのですが、前述した理由がある以上、純粋に民間企業が算出している、マークイットPMIやHSBCのPMIのほうが信頼できると考えられています。また、マークイットではグローバルPMIも公表しています。30カ国の購買担当者からアンケートを集めて作成します。

 大体、この30カ国の製造業だけで、世界の製造業の9割近いアウトプットを出しているので、十分に実態をカバーできていると考えても良いでしょう。

 そしてもうひとつ、中国経済の現状を把握するためには、株価を見るという方法があります。大勢の市場参加者によって品定めされた結果として価格形成されている「株価」のほうが、中国による経済指標よりはるかに信ぴょう性が高いと考えられます。