保険ラボ

東京海上など損保大手4社が
手を染めた「カルテル問題」

 東京海上日動火災保険など損保大手4社が、私鉄大手の東急グループ向けの火災保険などで保険料を事前に調整していた問題。独占禁止法で禁止されている「カルテル」を結んでいたとして、金融庁が損保各社に保険業法128条に基づく報告徴求命令を出す事態となった。

 報告徴求命令の対象となった損保は、東京海上と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。各社とも今回の事案への関与を認めたのに加えて、他にも同様の事前調整を行った事案がないかを調べる、いわゆる伏在調査に追われている。

 もっとも、今回のカルテルは違法ながらも、元は共同保険であることや、こうした巨大企業グループの保険には傘下の企業内代理店も介在していることなどから、業界内では発覚当初から「何が起こっているのか」「どこに問題があるのか」など、さまざまな意見が噴出した。

東京海上事前の保険料調整を主導した東京海上日動 Photo by Akio Fujita

 そこで、今回問題となっている東京海上主導の火災保険でのカルテルに加え、見解が割れている損保ジャパン主導の賠償責任保険でのカルテル行為の有無について、これまでの経緯を仔細に振り返ることで問題の所在をあぶり出していこう。