故人の預金通帳の過去の履歴は、相続発生後であれば、他の相続人の同意を必要とせず、相続人が単独で取得することが可能です。その通帳の履歴に、生命保険会社の名前と、保険料の振込が残っていれば、故人が生命保険をかけていたことがわかります。
そして、その保険会社に、故人が加入していた生命保険の開示請求をすれば、どのような生命保険契約だったかは、他の相続人も知ることができるのです。
相続税申告時の注意点
また、相続税の申告が必要になる方も気をつけなければいけません。相続税の申告書には、誰がどのくらいの生命保険金を受け取ったかを記載しなければいけない欄があります。相続税の申告書は、故人1人につき、相続人が連名で作成することが原則なので、生命保険金の内容は、すべての相続人に知れ渡ることになります。
遺言書の代わりとして生命保険を活用しよう
「このお金は確実にあの子に残してあげたい」という気持ちがあれば、それを遺言書で実現させるのも良いですが、生命保険で実現させてあげるのもオススメです。遺言書の場合は、相続人全員がその内容を知ることになりますし、遺留分の問題もあります。
一方で、生命保険であれば、その存在を他の相続人には知らせないという選択肢もあり、遺留分の問題も原則としてありません。
生命保険のデメリットは?
ただ、生命保険の活用にはデメリットも存在します。まず、「財産の流動性を失う」という点です。保険料として支払った預金は、保険を解約するか、その方が亡くなってしまうまで使うことはできません。ご存じの通り、保険を途中で解約すれば、払った保険料よりも目減りしてしまう可能性もあります。
いざというときのために「契約者貸付」という制度があります。これは、支払った保険料を限度に、保険会社からお金を借りることができる制度です。当然、金利が発生するものなので、できれば避けたいところです。
このように生命保険として払い込みをすると、いざ、そのお金を使いたいというときに、なかなか使うことができなくなってしまいます。基本的には、「このお金は死ぬまで使わないだろう」と思える金額の範囲内で検討するのがよいでしょう。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものです)