父への尊敬と反発

――イラストを描いたゆんさんから、何かほかに聞きたいことはあります?

ゆん 黄皓さんにちょっとお聞きしたいんですけれども、黄皓さんのコミュニケーション能力で尊敬している方とかっていらっしゃるんですか。

頭のいい人が投資の前に必ずしていること黄皓(こう・こう)
4代目バチェラー。ミラーフィット株式会社代表取締役
中国湖南省出身。10代で来日し、早稲田大学卒業後、三菱商事に入社。貿易事業を担い、メキシコに駐在する。その後独立し、日中間において北米・アフリカからの資材輸入を行う貿易物流会社の代表取締役、全国で20店舗以上展開するパーソナルジムの経営者を務める。2020年7月にミラーフィット株式会社を創業。スマートミラーデバイス「MIRROR FIT.」を通して、オンラインフィットネス事業を展開。3社で250名以上を束ねる経営者として活躍する。2020年、Amazon Prime Videoの大人気恋愛リアリティショー「バチェロレッテ・ジャパン」に参加。パートナーの最終候補となる。2021年「バチェラー・ジャパン・シーズン4」にも参加し、注目を集める。地上波放送をはじめ、雑誌、WEBなど多数のメディアに出演。著書に『超完璧な伝え方』(ダイヤモンド社)、『異なる勇気』(KADOKAWA)。

 これはね、表裏一体なんですけど、やっぱり親父なんですよね。私は八方美人がすべてって言ってるんですけど、うちの親父、まじで一本槍な人間なので、真逆なんですよ。ほんとにそれを感じたのがこの1カ月だったんです。僕、この1カ月、ピンチだったんですよ。こんなにコミュニケーション能力高いと言っていたのに、SNSが炎上していたり、会社のメンバーが少し不安になって組織崩壊しかけたりとか。妻とのけんかもちょっとあったり。八方美人やってきたけど、何も手にしてなかったなって思う、正直辛い1カ月だったんですよ。そんな中、僕をひと言で救ってくれたのは親父で。「今こんなので悩んでるんだよね」って言ったときに、「お前、バカじゃないの」と。100ある選択肢のうちから1つを選んで、「これだけやりな」みたいな。「あとの99は全部捨てろよ。いらないだろ、お前の人生に」って言われたときに、めっちゃ救われちゃったんですよね。僕は自分のポリシーで、八方美人が人生を豊かにするというのは信じているんですけど、最後は一本の槍で戦場を切り抜く父親のコミュニケーションっていうのは、強えなと思っちゃいましたね。さっき、何を削るかっていう話になったんですけど、やっぱり削るっていうのは、それだけその1本を、1を強くするっていうことになるんだなと思ったので、尊敬するのは父かな。でも、僕のコミュニケーションのベースは、父みたいになりたくないっていう思いがある(笑)。

 かなり強い信念を持った方なんですね。

 マジ強い。俺と南を足して3で割る。

 そこから柔らかさを全部削ぎ落すみたいな。

 削ぎ落す。

 部下にもストレートに接する、みたいな?

頭のいい人が投資の前に必ずしていること南祐貴/セカニチ(みなみ・ゆうき)
Koru-workers 株式会社代表取締役
1989年東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社。6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディング等で資金を集めて高輪ゲートウェイ駅の近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。マイナビ・ジチタイワークス等の就活・キャリア・資産運用セミナーにて満足度90%を超える人気講師。年間のセミナー視聴者数は延べ5万人以上。各SNSで毎日発信中、総フォロワー数は10万人を超える。YouTube しゅんダイアリー就活チャンネル等の全SNSの動画は合計4000万再生以上。著書に『世界一面白くてお金になる経済講座』『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』(ともにダイヤモンド社)。

 「社員が辞めてっちゃうんだよね」って言ったら、「そんなやつ辞めさせろ!」(笑)。「残るやつだけ大事にせい!」みたいな。

 強くて怖そう。逆に言うと、一本芯が通っているからこそ周囲からの信頼が厚く、全力で付いてくる社員も多いと。

 「去るやつを追うんじゃなくて、残ってくれるやつを愛せよ」みたいな。そんな話で「あ、そうだよなあ」と、なんかスッと救われちゃったんです。尊敬は、やっぱり父親に対してはしてますね。僕がまったく比較できない対象で尊敬しているという意味では、やっぱり父親。あとはひろゆきさんみたいなタイプもそうかもしれないですね。なんか自分の思ったことしか興味がなくて、「それって何とかなんですよ」って断定するじゃないですか、彼って。

 自信があるからね。

 そう。あれ、動画を切り取って周りから反証したら、全部反証できる内容しかしゃべってないんですよ。でも、本人は自分が言ってることが正しいとしか思ってないし、「お前らが否定しても俺は正しいと思ってるからいいんだ」っていう、あの一本槍はすげえなって思いますね。これはジレンマではあるんですけど、でも、そういう人がいるから『超完璧な伝え方』を書いたし、この本を書いて、この本の書いてあることの素晴らしさを理解しつつも、その人たちが強い理由も理解できちゃったっていう感じですかね。

――南さんは『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』を書くときって一番誰に届けたいと思いましたか? 情弱なサラリーマン? それとも主婦?

 僕自身が情弱の会社員でした。働きすぎて疲れて、もう死にたいと思ったり。毎日何のために生きているか分からない生活を5年も続けていた。そんな過去の僕に届けたいと思って本を書きました。今、会社に悩み、仕事に悩み、お金に悩み、給料に悩む人がいっぱいいるから、そういう人に読んでほしい。もちろん日本はこのままだとヤバいけど、一方で実はチャンスもあるんだよと希望も伝えたかった。円安はデメリットもあるけど、メリットになる分野もある。だから、社会の変化を正しく知って、メリットを活かしていこうよ、と。過去の情弱だった自分に語りかけるような思いで書きました。

 たしかに南の今の活動って、けっこうサラリーマン時代の自分を反証するようなことが多いもんね。

 情弱すぎる会社員だったなという反省・自覚が強くあって。会社員生活がすごく辛かったから。

 僕は南と発信範囲が違うけど、家でなんとなく不安な気持ちで過ごすしかない女性もたくさんいるんだなっていうことを、けっこうSNSで発信をして気づいたので、その人たちにも正直、ちょっと届けたいなっていう感覚はあります。

 それは思った。漫画くらいのレベルでもっと分かりやすい作品をつくりたいという思いがある。今後やりたい一つの目標です。

 『インベスターZ』みたいにね。

 そう。ゆんさんに全編を漫画で描いてもらうのは、僕の夢ではあります。地方在住の知識ゼロの専業主婦の皆さまにももっと読んでほしいですし、中学生や高校生にも読んでほしい。全編イラストにして伝えたいのはセカニチの夢です。

 まさに『サザエさん』みたいな。サザエさんはもう今の日本の家庭じゃないけど、例えば、都内近郊のベッドタウンの70平米ぐらいに住んでいる30代の、お子様が3歳ぐらいの主婦を主役にして、日本の未来がヤバそうな要素を漫画の中に取り入れて。

 外食費が上がったり、電気代が上がったりっていうトピックがあり。

 それをちょっと面白おかしく漫画にして。「でも、こういう考え方を変えたら、こんな豊かになった」みたいな本だと、僕、すごい読みたいなと思うんですね。みんな自分に当てはめて考えるから。

 たしかに。分かりやすいストーリーを作って漫画にしたいです。