「Z世代は打たれ弱いから」とは言われるが……
親としてはありがたいが、国防という観点では複雑な心情
親の立場としては、けがや事故、自殺といった問題なく、無事に兵役期間を終えることができればありがたいことであろう。しかしその半面、「国防」という観点から見れば、現在のように兵役義務が至れり尽くせりの対応なのも考えものだと感じる。
日本でも、6月に岐阜県の自衛隊駐屯地で18歳の自衛官候補生が銃を乱射し2人が死亡、1人が重傷を負う事件が起きた。この事件に対して、ニュースのコメント欄では、事件の容疑者がZ世代に当たることから、「打たれ弱い」「人から注意や叱責されることに慣れていない」といったコメントが書かれ、世代と教育の関係の指摘が目立っていた。事件の全容や容疑者の動機はまだ明らかになっていないが、やはり自衛隊も近年は隊員確保に苦慮し、適性や人間性までを見極めて採用する余裕がないという話は聞こえてくる。世代の特徴に合わせた教育や訓練の仕方に改めるべきだという意見もある中、それでも「国を守る」という立場である以上、生やさしい教育では通用しない、厳しさも必要であるという意見も散見されていた。
韓国の場合は、兵役期間もかつて最長で36カ月だったのが、現在ではその半分の18カ月と大幅に短縮されている。また前述のように、兵役中の外部との連絡が円滑になったことで携帯電話が不適切な使用をされるなど弊害も出ている。さらには、兵役中の息子を心配するがゆえに、部隊にあれこれと注文をつけたり、個人的な用件でたびたび連絡を入れたりする親も多いとのことだ。
「国防」という観点から見れば、現在の韓国の兵役はかなり緩くなっていると言えそうだ。何事も時代に合わせた変化の対応が求められるのは当然とはいえ、やはり節度も必要ということであろう。