一時しのぎの文政権の対応
中国重視姿勢が鮮明

 トランプ政権からバイデン政権に代わり、米国の要求はさらに強まった。米国が同盟関係そのものを疑い始めると、文在寅政権は「進展した変化がない場合、KIDD(韓米統合国防協議体)や韓米首脳会談で難航が予想され、同盟の懸案管理において大きな負担になりかねない」として対策に乗り出した。しかしその対策は、「全面的な接近権の許容ではなく、制限的な出入り」だった。

 朝鮮日報は21日の記事で「(2019年2月22日に)外交部が一般環境影響評価関連で対中説明」と記載された文在寅政権の国防部文書を入手した。文在寅政権の外交部は計画書提出の翌日に対中説明を行っている。韓国政府筋は「当時の外交部は米国の了解を得ないまま中国に説明した」という。

中国への「3不1限」の約束で
軍事主権を放棄

 さらに注目すべきことは2019年12月3日に行われた安保会議に関する国防部の文書で「THAAD3不」について「韓中間の従来の約束」と明記したことである。

「THAAD3不」とは「THAAD追加配備不可」「米国のミサイル防衛システム(MD)不参加」「日米韓軍事同盟不可」を意味する。文在寅政権は3不について「韓国政府の立場表明に過ぎず、国家間の合意や約束ではない」と説明してきたが、そのうそが暴露されることになった。

 さらに、2020年7月31日に国防部長官に報告された文書には「中国は両国が合意した3不1限を維持すべきとの立場」という文言も出てくる。1限とは中国を狙わないようTHAADの運用に制限を加えることを意味する。

 THAADの追加配備や米国のMDへの参加は韓国の主権に属することであり、これを放棄することは自国の軍事的運用に他国の干渉を認めることである。朝鮮日報は社説で「国を売り渡したと言われても反論できないだろう」と批判している。