金融機関や自治体からの書類、郵便物、クーポン、子どもが持ち帰るプリント類……。忙しく暮らしていると、気が付けば「紙」が、たまっていませんか?「紙」はとりあえず取っておくと、「肝心な時に出てこない」「いつの間にか期限が切れていた」「大事な書類を失くして、お金や信頼を失くす」などの悲劇が起こります。実は、人生により大きな影響を与えるのは「モノ」よりも「紙」の片づけなのです。「紙」に特化した片づけ方法を書き、話題を呼んでいる片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊「人生が変わる 紙片づけ!」から、「紙片づけ」の極意を抜粋して、ご紹介します。
データ化できるものとは?
私の「紙片づけ」のメソッドでは、入ってきた紙は
①すぐに捨てる
②確認して捨てる
③データ化して捨てる
④ファイリングする
に分けます。今回は③のデータ化する紙についてみて行きましょう。
データ化して捨てる紙というのは、紙そのものではなく、そこに書かれている情報に価値があるものです。
例えば、健康診断結果や、学校の年間行事予定表、行きたいお店のリストなど。
そういう情報は、脳に記憶させる代わりに、データ化してクラウドに保管しましょう。
クラウドというのは、簡単に言うと、自分のもう一個の脳みそのようなものです。しかも、人間の脳みそのように、間違って記憶することがないですし、情報が出てこないこともありません。検索ワードを入れれば、欲しい情報がパッと出てきます。
また、勝手にやってくる紙だけではなく、自分から取りに行った情報も簡単に残しておけるのが、クラウド保管のいいところです。
例えば、料理番組を見ていて、レシピを紙にメモしたとします。
ところが、いざ買い物に行こうとしたら、その紙をどこに置いたかわからなくなった経験はありませんか?
他にも、メモ帳がないから箸袋にメモをしたらなくしてしまったとか。私自身も、20代の頃に当時喫煙者だった夫のタバコの空き箱を捨てたら怒られたことがありました(空き箱に大事なメモをしていたそうです。そんなの、知りません…!)
紙のメモは、手軽に取れるのはいいのですが、「どこに」「何を書いて」「それをどこに置いたか」を覚えておく必要があります。しかも、「あの手帳の終わりのほうにメモをした」と覚えていたとしても、その手帳を取り出してメモした場所をめくり当てるのに時間がかかりますし、家に手帳がある場合は、外出先で確認することはできません。
それに対してクラウド保管は、スマホの中に確実にあります。スマホさえ開けば、自分から取りに行った情報も、パパッと検索して見ることができます。
「クラウドに保管するのは面倒くさそうだからいいや」という方ほど、使ってみればメリットを実感されるはず。
しかも、どこからでも確認できるので、外出先で急に必要になった時も便利です。
やり方もとっても簡単。
一番使い勝手がいいのは、紙を写真に撮ってクラウドに保存する方法です。具体的なやり方は本書で説明していますので、ぜひ気軽にトライしてみてください。
家族で共有するスケジュールは紙で残して壁に貼る
基本的には、データ化したら、原本であるその紙は捨てます。
ただし、例外として、万が一データが消えると困る情報(財産に関する重要な情報など)は、紙の原本も取っておくと安心です。
また、家族で共有したい情報は、データ化したうえで、紙そのものを壁に貼るのもおすすめです。
例えば、学校の「献立表」。
子ども部屋の壁に貼っておくと、給食を楽しみにしているお子さんにも共有できますね。
我が家でも、子ども達が家にいた頃は、私の出張のスケジュールや子どもの夏期講習の期間なども、紙のカレンダーに全部書いていました。それを見れば、いつからいつまでは私がいないから、塾のお迎えは夫が担当するとか、夏期講習の期間を避けて旅行の予定を立てようなど、スケジュールを管理しやすかったからです。
つまり、子どもやお年寄りなど、スマホを使い慣れていない人に対しても、共有したい情報がある場合は、紙を利用するということです。
カレンダーは、家族が共有しやすいリビングに貼るのがおすすめです。とはいえ家族のリラックス空間に紙があると落ち着きませんし、美観も損なわれます。カレンダー以外は扉の内側など、目立たない場所に貼るのがよいと思います。
紙のカレンダーの長所は「時間の感覚がわかる」こと
家族で共有する情報は紙を利用するとよいと前述しましたが、紙のカレンダーは共有できるだけではなく、「時間の感覚がわかる」のも利点です。
例えば、お子さんが受験生で、A校、B校、C校を受けるとします。その場合は、紙のカレンダーに各学校のスケジュールを記入しておくと管理がラクチン。
A校は赤、B校は青、C校は緑という風に色を決めて、それぞれの願書提出日、受験日、合格発表日、手続き締切日などを書いていくといいですよ。
もちろん、スマホカレンダーに「A校の手続き締切日」など、スケジュールを入力し、リマインダーを設定しておけば、うっかりミスも防げます。
けれども、スマホのカレンダーは、情報をピンポイントで知らせてくれるのがメリットである反面、時間の感覚が抜け落ちてしまうことがデメリット。
たとえば、紙のカレンダーに受験の日程を書いておくと、あと10日、あと3日、いよいよ明日……という風に、時間の量感覚を認識できます。
だから、「あと10日しかないから、そろそろ夜は早く寝るようにして朝型にしていこう」とか、「お腹を壊すといけないから、生ものを出すのは今日で最後にしよう」とか、行動に活かすことができます。この感覚はスマホのカレンダーではなかなか得ることができないものです。時間の経過という余白の情報を感じ取ることで、行動を改善しやすくなるのです。
ですから、家族で共有したい大事なスケジュールは、紙のカレンダーが便利。それプラス、スマホカレンダーで二重管理をすれば、スケジュールに関するミスはなくなります。
ちなみに、紙のカレンダーはなるべくシンプルで、日付の部分が大きいタイプを選ぶのがおすすめ。文字を書き込みやすいですし、書いた文字も見やすいです。
*本記事は、石阪京子著「人生が変わる 紙片づけ!」の中から、抜粋・編集したものです。