STEP1:解凍1-1 「現在地」を知る
もう少しわかりやすく、細分化した問いで考えてみよう。あなたが自分自身のキャリアを点数化するとしたら、100点満点で何点だろうか。感覚的な数字でかまわない。
重要なのは人との比較ではない。現在の点数と100点との差分だ。点数には、今の自分に何かが足りない、何かが満たされていないという直観が含まれている。そこを言語化の足掛かりとしよう。
たとえば、なんとなく60点をつけたとする。そこから、次の問いに進んでほしい。
・あなたの「60点」を積み上げている加点要素は何だろうか?
・それは具体的にはどういうものだろうか?他にはないか?
・100点との差分である「40点」の要素は何だろうか?
・それは具体的にはどういうものだろうか?他にはないか?
・差分の要素が仮に一とおり実現されたら、その他に備えたい要素はあるだろうか?
人によっては答えに窮(きゅう)するかもしれないが、それでもまったくかまわない。自身のキャリアにおいて、満足している部分は何か、そして不満足な部分は何なのか。ここを少しずつでも言葉にしてみることが、次に進むためのきっかけや足掛かりになる。しかし、考えるにあたって邪魔になるものがある。
STEP1:解凍1-2 「プライドの鎧(よろい)」を脱ぐ
キャリア支援をしていくなかで、自分自身の言語化に頭を悩ませる方の多くは「プライドの鎧」をまとっている。「自身を認めたいという願望」と言ってもいいかもしれない。プライドや自身のこれまでの経験値が邪魔をして、本来の自分が見えていない。いや、無意識に目を逸(そ)らしているケースは意外と多い。
「何のことだろう?」と疑問に思われた方もいるかもしれない。要は「素」の自分になってほしいということだ。逆に言えば、私たちは往々にして、自分で思っているほど「素」ではないのだ。
自分を見つめようとするとき、他者との比較など「外」を意識した、ノイズが入った状態になってしまっていることは多い。比較で生まれる「プライド」は、冷静に自分を見つめる邪魔をする。
人は人との関わりの中で生きているため、相対的に比較してしまうのは自然なことだ。また、自分の人生を否定したくないがために、これまでの生き方やキャリアを意味のあるものとして肯定しようとするのもまた自然な心情と言える。ただ、この「自己正当化バイアス」が強すぎると、自分でも気づかないうちに本音をごまかしてしまう。言語化にゆがみが生じ、結果として幸せとは言えない未来を招くケースが多いのだ。