その2
平均貯蓄額にこだわって貯めようとする

 貯蓄をしようと真面目に取り組む人ほど、目安を知りたくなるものだ。検索すれば、「30代の平均貯蓄額は、○○万円」とか、「目安として年収の○%は貯蓄するべき」などの数値が目に入ってくる。しかし、それが逆に貯蓄のつまずきになりかねない。

 その数字をうのみにして「1年で○○万円貯めよう」とか、「毎月○万円積み立てよう」と決め、先取り貯蓄をスタートしたとする。しかし、その金額が家計の実態に合わない無謀な数字だとしたらどうなるか。実態としては、生活費が不足し、毎月赤字続きになってしまうだろう。

 赤字だという認識があればまだいいのだが、足りないときは生活費をクレジットカードで払い、翌月まで先送りにしてしのぐ、というのがよくあるパターンだ。もちろん翌月も同じことが繰り返され、さらに翌月も…という、いわば自転車操業家計になってしまう。しかし、本人は「目安通りにきちんと貯蓄できている」と思い込んでいるのだ。家計は赤字なのだから、それは貯めているとはいえない。

 無理なく積み立てを続けるためには、家計にしわ寄せが来ない金額を設定するべきだ。

 身の丈に合った設定をすべきなのに、「ネットの『平均貯蓄額』や『積み立ての目安』より少ない金額しかできないのは、自分がやりくり下手だからだ」と思い込んでしまう人もいる。そんなことはない。家族構成も必要な支出額も人それぞれ。平均値であれ中央値であれ、あくまで世間様の話だ。最初はそんなものにとらわれず、身の丈に合った金額からスタートしよう。