その5
iDeCoで節税した分をほったらかし
資産形成におけるパワーワードは「節税」だ。預貯金は低金利だし、投資で元本を増やすには相応の時間が必要になる。しかし納めた税金が戻ってくるのは1年ごとで、確実におトクに思える。特に、iDeCoは積み立てた掛け金がまるまる所得控除の対象になるのがメリットだ。その年の所得税と、翌年から払う住民税が安くなるというので人気も高い。
しかし、問題はその「節税」の扱いだ。
特に会社員は注意が必要だ。ぼんやりしていると、せっかくの節税分を気づかないうちに使ってしまうかもしれない。所得税からの節税分は年末調整で給与口座に戻ってくるし、住民税では翌年6月からの天引き額が少なくなる。「還付金です」と個別に振り込まれるわけではないので、給料が増えた気になって、無自覚に使ってしまう人も多いのではないか。
値上げのご時世で仕方ないとはいえ、「収入が増えた分だけ支出も増やす」というお金の使い方をしていると、それこそ老後になって収入ががくんと減ったときに困る。
だから、iDeCoで節税をしたら、その金額をいざというとき用として確保できれば理想だ。年間の掛け金に自分の所得税率・住民税率を掛けた分を目安として、その金額を貯蓄に振り向ける。少々面倒だが、なんとなく使って消えてしまうよりは有効に使えるだろう。