「旧統一教会の影響を感じさせる」
ジャーナリストも指摘

 日本ではそもそも、子どもの人権がないがしろにされてきたと言って過言ではない状況がある。国連による「子どもの権利条約」に批准したのは1994年(世界で158番目)、それを「こども基本法案」に反映させたのは2022年。

 そもそも批准が遅かった理由も、「子どもの権利を認めたら子どもがわがままに育つ」「発展途上国に必要なもので日本では必要ない」といった、人権の考え方への誤認があったようだ。(※参考『「子どもの人権」日本で理解進まないのはなぜ? 国連の「権利条約」世界158番目批准から28年、やっと議論開始』東京新聞22年5月5日)

 親が責任を持って子どもを育てるという考え方は基本的には必要だが、その基本が当てはまらない家庭もあることを前提とした社会の仕組みも必要だ。

 それにもかかわらず、相変わらず「家族の絆」一辺倒に見えるこども家庭庁への不信感は、ジャーナリストの津田大介氏のX投稿にも表れている。

 旧来の「家族像」や性的役割分担を重視し、選択的夫婦別姓や同性婚に反対する保守政治家は、旧統一教会や日本会議との関係が指摘されている。

 今年7月に亡くなったタレントのryuchellさんは、息子と一緒に『いろいろ いろんな かぞくの ほん』(少年写真新聞社)という絵本を読み、シングルの家庭や、同性の親がいる家庭、祖父母が親代わりの家庭など、いろいろな家族がいることを伝えていたという(参照)。

 子どもの気持ちを「まんなか」に考えれば、多様な生き方を否定できないはずだ。

 理想の家庭観を固定したいかのような印象を与えたことを理由に炎上している「こども家庭庁」のコンクールだが、入賞作品ではぜひ多様な家族のあり方を見たいものだ。