「こどもがまんなか」ではない
設立後も批判が後を絶たず

 こども家庭庁は2023年からスタートした内閣府の外局であるが、設立前から批判は多かった。

 そのネーミングが「こども庁」から「こども家庭庁」になることが発表された際にも、子どもより家庭なのか(子どもの人権よりも親の親権を重視するかのようだ)といった、今回と同趣旨の批判が上がっていた。

 いざスタートしてからも、商業施設などで妊婦や子ども連れを優先する「こどもファスト・トラック」や、Jリーグとコラボした子連れ優先の取り組みが、行政がやるべきことは他にあるのではないか、という批判を受けている。

 また、7月22日にキックオフイベントが行われた「こどもまんなかアクション」は、岸田文雄首相が「これを機に子育てに優しい社会の輪が全国に広がることを期待したい」(※)と力を入れた取り組みだが、このような政府主導の「意識改革」で、絶望的状態の少子化に歯止めがかかるものだろうか。

 庶民は異次元の増税と物価高騰に苦しむ中で、「税金の無駄遣い」だと思われるものに敏感になってしまっている状況がある(先日の与党女性議員らによるフランス視察でも、税金が使われたのか否かが問題だとする人が多かった)。子育て家庭という特定の層のみをターゲットにした、上から押しつけられる形の「意識改革」はむしろ逆効果になる可能性さえある。