「現在地」とは、「自分がどういう存在であるか」という現状認識のことです。先ほども書いたように、新入社員であれば、「戦力になれていない未熟な存在である」というのが「現在地」となるでしょう。
この「現在地」を把握していれば、自然と、謙虚な姿勢で、「教えてください」「助けてください」とお願いするというスタンスが生まれるはずです。このように、「現在地」に即した言動に徹することによって、上司・先輩は、自然と「可愛いヤツだな」「こいつを助けてあげたいな」と思ってくれるわけです。
逆に、「現在地」を見誤って、「上司・先輩なんだから、教えるのが当然でしょ」などと内心で思っていれば、そのことを上司・先輩は必ず感じ取ります。
もちろん、相手は大人ですから、一応のことを教えてはくれるでしょう。しかし、それはあくまでも、上司・先輩としての「職務・義務」を遂行しているにすぎません。むしろ、潜在意識のレベルでは、「なんか、この態度おかしくない?」「こいつ、なんか勘違いしてない?」などと違和感を覚えるに違いありません。
そして、新入社員がスタンスを改めない限り、いずれ、上司・先輩は彼(彼女)のことを疎ましく思い始めるはずです。その結果、その新入社員は「影響力」が削がれた状態で働き続けるほかなくなってしまうのです。
この世に、「影響力」を発揮できない人は存在しません。
どんなに無力であっても、どんなに立場が弱くても、周囲の人々に「その存在」を認められ、「影響力」を発揮する方法は、必ずあるのです。
ただし、そのためには、「自分の現在地」をしっかりと把握することが欠かせません。逆説的ではありますが、「自分は無力である」「自分には影響力がない」ことを認めること(つまり、「現在地」を知ること)が、「存在感」と「影響力」を生み出す第一歩だと言えるのです(詳しくは、『影響力の魔法』に書いてありますので、ぜひお読みください)。