叱る親と泣く子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

「怒りたくないのに止められない」。何度伝えてもわかってもらえない、言うことを聞かない。日々思い通りにならないことだらけの育児で、どうしても声を荒げてしまう親は多いはず。怒鳴らずに子どもにわかってもらう、ラクになる叱り方とは?本稿は、伊藤徳馬『子どもも自分もラクになるどならない「叱り方」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

「また激怒しちゃった」の
負のループ

 4歳の元気な太郎くんは、風呂上がりに濡れた体で逃げ回り、ママがイライラして「危ないでしょ!」と言っても、ふざけて洗面所から出ていってしまいました。

 調子にのった太郎くんは、トイレのドアノブに素っ裸のままぶら下がります。そしてバキッと音がしたドアノブは、微妙に斜めにゆがんでしまいました。

 ママは「何やってんのよっ」と叫びながら、濡れた床を歩いて太郎くんに近づいて……。

 まあ、この状況だと普通は激怒しますよね。ママも太郎くんも、このあと悲惨な目にあうんだろうなあと容易に想像できます。

 でも、もちろんこういう場面で親御さんとしては、親子ともに痛むことを望んでいるわけではなく、怒りたくないのに怒らざるを得ないなかで子どものしつけをがんばろうとするわけなんですよね。

 こういうことが連続すると、これがまたしんどいんですよね。もうね、「また激怒しちゃった→明日からがんばろう→あ、またやっちゃった」というループが続くと、仕事や家事にも影響するレベルで気持ちがやられたりして......。

 今のようなやばい場面にちょっとでも対応できるようするには、下のような順番で練習をしていくのがベストです。

(1)子どもの問題行動に対応できる幅を広げておく
(2)ほめることにも慣れておく
(3)やばい場面でも落ち着いて肯定的なしつけをして、軽くほめて終わって逆転成功!

 なかでも大切なのは、叱る時に「代わりの行動を教える」ことです。子どもが問題行動を起こしたとき、「~してね」とか、「こういうときは、~するんだよ」と伝えます。

 さっそく練習してみましょう。練習は、なるべく声を出して本番風に答えてください。リアルに練習するのが大事なんです。恥ずかしい小芝居ですが、誰も見ていなければ堂々と声を出していきましょう。声を出せない環境で読まれているのであれば、頭の中でリアルなイメトレをしてください。

 今回は、4歳の太郎で想像してみましょう。

 ママと太郎くんの2人でお風呂に入るとき、太郎くんは洗面所で服を脱ぐと勢いよく走って風呂場に入りました。幸い、太郎くんは滑って転んだりすることはなかったのですが、これは危ないなと思ったママが太郎くんに注意する場面です。

 では、シンプルに「~してね」と太郎くんに「代わりの行動」を教えてください。「お風呂場には歩いて入ってね」。こう言えたらOKです。