SDGsと聞くと、ビジネスの足かせになる聞こえのいいお題目というようなとらえ方をする人もいますが、それは間違いです。消費者や機関投資家、この先入社してきてくれる若い人材が重視しているものをキャッチして、そこに訴えかけるビジネスを展開することは従来誰もがやってきたことです。SDGsという合言葉は、むしろその現代における軸となる価値観を分かりやすい指標として示してくれているのだと思います。面倒に感じて拒むのではなく、また見せかけだけ繕って流行に乗ろうとするのでもなく、真摯に受け止めれば、自社を助け新たな道を切り拓くビジネスチャンスとしてとらえることができるはずなのです。
賞味期限が近い米は甘酒に
籾殻はエコ燃料「モミガライト」に
葬儀の返礼品や米の販売会社で扱っている米には精米からの賞味期限を定めており、3カ月前くらいになると在庫から外します。こうした米もそのまま廃棄するのではなく、甘酒の原料として再利用しています。
作った甘酒は商品化し、葬儀の返礼品に利用したりECサイトで販売したりしています。甘酒はほかにもソフトクリームの原料に使い、北海道の農場や千葉の本社、そして神奈川の米販売会社に設けたアンテナショップで販売しています。
さらに籾殻です。稲刈りした米は籾摺りをして玄米にします。そのときに出てくる籾を使って「モミガライト」という燃料を作っています。2022年、千葉に専用製造機を導入し、脱穀で出た籾殻10トンほどをモミガライトにしました。
モミガライトはキャンプ用や薪ストーブ用に販売するほか、温室などで使うこともできます。また、化石燃料とは異なり、温室効果ガスの発生を抑えるという点で文字どおりのエコ燃料ということができます。その年に育った稲から出た籾を原料にしていますから、大気中から吸収された二酸化炭素の量と、燃焼により大気中に排出される二酸化炭素の量がつり合い、環境に与える負荷がほとんどないというわけです。
小規模ですからたちまち地球環境を変えるようなものではありませんが、使えるものを捨てずに使い、一人ひとりができることをするのは環境保全の基本といえます。考え方としてはいわゆるカーボンニュートラルにもつながるもので、現代の事情に即するものだと思っています。