差し当たっては、石油やガスの料金が高騰しているおり、今後予定している花卉のハウス栽培などで生産コストの抑制につながることを期待しています。

販売ルートを自分たちで
コントロールすれば農業は儲かる

 北海道の水田で出た米藁は、放し飼いにしている養鶏場の鶏舎の敷床に使っていますが、この堆肥の使い道として取り組んでいるのが蝦夷ヤマブドウの栽培です。

 蝦夷ヤマブドウはその名のとおり、北海道の山に自生している山ブドウの一種です。これを400本ほど養鶏場から出た堆肥を蒔いた畑に植え、酒造免許が取得できればワインを作る計画です。

 北海道は近年、ワインの産地としても知られています。ただ、私たちがワインを作るといっても後発の後発で、先行しているワイナリーに追いつけるとは思えません。そこで、蝦夷ヤマブドウというちょっと変わった品種で勝負したいと考えているのです。

 山ブドウのワインは一般に酸っぱくてあまりおいしくないイメージがありますが、いろいろ工夫の余地はあるはずです。そこはまた新参者の発想で挑戦します。

 同じように、ビールの開発にも取り組んでいます。今年、北海道の畑でホップを作ってみて成功しました。二条大麦も二反(約600平米)作付けし収穫できました。これらの原料を使って、まずはOEMでオリジナルのクラフトビールを作る予定です。

 さらに近い将来、酒造会社を買収できないかと考えています。そうすればワインやクラフトビールと一緒に日本酒を作ることができます。もちろん、原料となる山田錦などの酒米は自社の水田で作ります。日本酒は酒米の調達コストが結構掛かるのでそれを内製化できれば、かなりコストダウンができます。

 こうして作った商品は、米と同じように葬儀の返礼品や自社のショップ、そしてECサイトで販売していきます。大量に作って売りさばくのではなく、自分たちで原料から最終製品まで手掛けるビジネスモデルです。こういうやり方は小回りの利く中小企業にはとても向いていると思います。

 農業は儲からないというイメージがありますが、複数の地域で米をローテーションで作ったり、田んぼから出る廃棄物を商品にしたり、複数の作物を組み合わせたりすれば、利益を得ることは十分に考えられます。そして最も大事なポイントですが、販売ルートを自分たちでコントロールすれば、農業は儲かるのです。