ルーツは一般市民向けの情報誌

 ビルボード・ジャパンが「ファンダムの外側の、大多数の人が納得できる公正なヒット指標」を目指しているのは、Webサイトからも明らかだ。サイト内では「よくある質問」として、集計方法や定義を詳細に開示しているページがある。興味がある人は一度読んでみてほしい。

 また、TOPページのメインロゴの下に、「CHART INSIGHT(チャート・インサイト)」というメニューがあるのも象徴的だ。上位20曲が「どの指標で特に強いのか」を曲ごとに深掘りしたり、ソートしたりできる。ヒットの“震源地”かがわかる仕組みだ。サイトの看板の真下ともいえる一等地にこの機能を置くことで「ヒットの理由をもっと知りたい」というユーザーの好奇心に応えている。

 ただここで1つ、オリコンとビルボードについて頭に入れておきたいポイントがある。オリコンのルーツはそもそも関係者向けの「音楽業界誌」だった点だ。オリコン社は、創業時はレコード会社や芸能事務所、レコードやCDショップを対象に、市場調査のデータとしてチャートを提供していた。

 他方でアメリカのビルボード社のルーツは、移動遊園地やサーカスなどのアミューズメント情報を一般市民に向けて発信する情報誌だった。もともと「B to B」企業と「B to C」企業だったと考えると、この大きなギャップも腹落ちする。