最初に対話を持ちかけるときは、なかなか勇気がいるものだ。ただ、共働き家庭が増えるなかで、「女性のキャリア問題」は、「家族全体のキャリア問題」でもある。ライフイベントは、一時的な出来事ではない。家族や子どもの成長に合わせて、環境は変化し、2つのキャリアジャーニーは、これからもずっと続いていくのだから。
男性読者も、ぜひ「相手の」ではなく「私たちの」テーマとして聞き、話してみてほしい。
「制約」と「タイミング」はセットで話す
パートナーと互いの価値観を認識し、どういったキャリアを歩んでいきたいのか目線合わせする際に、重要になるのが「タイミング」だ。
どの時期に成長に向かうのか、どの時期に1度仕事から離れて、また戻るのか。すべてコントロールできるものではないのは当然として、早め早めに考えて意思決定に反映させていくにこしたことはない。一時仕事をセーブしないといけない場合は、復帰後、どのタイミングで、どの環境で成長を目指すのか、よりメリハリを付けた対応が必要になる。
「いつまでにどのような能力や経験を積みたいのか」も、能力だけではなく、どのタイミングで実現するのかとセットで、1度「中長期視点」で設計しておくとよいだろう。
逆に、「短期視点」にとらわれないよう気を付けよう。「子どもが小さいので難しいと思う」という声もよく聞くが、そんなときは「中長期視点」で、「子どもが大きくなった際はどういう働き方をしたいだろう?」と問いかけてみてほしい。プレイヤーとして仕事をするのか、逆に裁量が大きく、意外と時間の制約に対応しやすい管理職を目指すのか。
一方では中長期視点で将来を見渡しつつ、そこから逆算して短期的には、注力するテーマを絞り、量ではなく質を意識し成長要素を明確にするのは、多くの人に有効だろう。
早めに産んで戻るか? スキルが高まるのを待つか?
人生をどう過ごすかは人それぞれだ。とても網羅して語り切れないし、そうすべきでもない。ただ、私のもとによくキャリアとセットで寄せられる「早めに産んで早く戻るのがいいのか?スキルが高まるのを待ってからがいいのか?」という具体的かつ切実な質問には、ここで答えておきたい。
まず、キャリアの前倒しを意識し、「制約が生じる前に、早めに、最低1つテクニカルなスキルを身につけ前回紹介したT型になっておく(H型だとなおよい)」が私の基本的な考え方だということはすでに述べた。軸となる明確な能力がないなかでは、復帰後の機会はどうしても得づらくなる。