プロダクトや事業の成長を判断するには
指標とレビューが不可欠

 何から手を付ければよいのか、緊急度や重要度を判断するために、本来はプロダクトや新規事業はスタートしてからも順調に成長しているかどうか、定期的にレビューが必要です。しかし、作ること、スタートすることがゴールになってしまって、シビアなレビューがないままに、ズルズルと続けてしまうことは結構多いのです。

 レビューを行うためには指標が必要です。何をもって成功とするか目標を定め、成功を要素分解し、各要素の達成度を評価することで、本当に事業やプロダクトが成長しているかを見極めるのです。

 以前の記事『ウィズコロナ時代の「オフィス回帰」は、本当に生産性・創造性を向上させるのか』でも紹介しましたが、多くの事業では売上や収益を最終的な成功の指標(KGI)とします。これを達成するための条件となる先行指標としてKPI(重要業績評価指標)を定め、定期的にレビューを行うことで次のアクションを判断することが可能になります。ダイエットして1年間で10キロやせたいと決めたとして、目標を達成するためには体重や体のサイズの変化、食事の量・質、運動量などを定期的に観察して、その都度、何をすべきかを見定める必要があるのと同じです。

 また、定めた指標以外で、急激に事業を悪化させるような緊急事態が発生した場合には、その対処を先に行わなければなりません。プロダクトであれば、指標にはしていなかったけれどもユーザーのアクティブ率が想定の範囲を超えて急激に低下した、といった状況がこれにあたります。この場合は新機能開発の手を止めてでも、原因の究明と対策が必要となります。ダイエットの例でいえば、けがや病気など、観測している数値以外で急に状況が悪化した場合は、ダイエットを中止してでも先に健康を取り戻す必要がある、ということになります。

 レビューはシビアに行う必要はありますが、必ずしも“詰められる場”ではないと認識しておかなければなりません。以前、マイクロソフトでは会計年度が始まってから半年たって1月になると、全事業の定期レビューミーティングが行われていました。ここでは、かなり厳しくKPIを検証されるのですが、しかるべき理由があればちゃんと追加投資が認められる場でもありました。そういったメリハリのある判断を行うためにあるのが、レビューなのです。