そして、この目的に気づけると、不快な感情はあっという間に消えていきます。「不快な感情は、自分が大切にしているものが手に入るためのプロセスなんだ」と理解できると、不快な感情も必要なものだとわかり、自然と大切にしようと思えるようになるでしょう。

 嫌って、消そうとしても消えないというとき、人は不快感情を感じます。「嫌う気持ち」こそが、ネガティブな感情の正体なのです。

 自然にわき起こる感情を嫌わずに、大切にして、仲良くしようと思ったその瞬間、「不快な感情は嫌だから消そう」と思うことで起こっていた不快感情は、消えていきます。

 自然発生する「嫌だ」という感情は、90秒で自然に消え、次の感情に移っていくといわれています。ですから、「嫌だから消そう」と考えてしまう感情をうまく扱うことができれば、結果として不快な感情は消えていくのです。

 消そうとしても消えないところに、人は不快感情を感じるわけですから「不快な感情を消そう」「不快な感情を感じるのをやめよう」と思えば思うほど、不快感情のループがはじまります 。

 ひとつ例をあげましょう。あなたも、「自己否定をしてはいけない」という言葉を聞いたことがありませんか?

 そして、多くの人がその通りだと思っているのではないでしょうか。 でも、この考えこそが、自己否定ループを生み出している原因なのです。

「自己否定をしてはいけない」という言葉を、よくよく分析してみましょう。すると、「自己を否定している自分はダメだからやめましょう」と、自己否定していることがわかるでしょうか?

 つまり、「自己否定している自分」を「否定している」言葉になっている のです。しかも、自己否定することをやめられないので、「だから自分はダメなのだ」とまた否定してしまいます。そして、「その否定している自分をまた、否定してしまう…」というように、自己否定が延々と繰り返されてしまうのです。

「自己否定してはいけない」という言葉は、ある意味「自己否定しなさい」と言っているのと同じ結果を生んでしまっています。結果として、自己否定を加速する言葉になっているのです。

 この自己否定ループは、悪魔のトリックといってもいいでしょう。このしくみを理解していない人や真面目な人ほど、いつの間にかこのループにはまってしまうのです。