自分を俯瞰することで
価値観に振りまわされなくなる

 では、こうなってしまったとき、どうすればいいのでしょうか?答えは簡単です。不快な感情の目的を理解していきましょう。条件反射のように、不快感情から逃げることを繰り返している限り、不幸のループからは逃れられません。

 たとえば、自己否定を繰り返す人の場合、成長をうながすために自分を否定している、という目的を持っていたりします。すぐに不安になってしまう人の場合、危険を避けるために不安を感じて、いち早く動くきっかけにしています。

 これを理解できると、自己否定を繰り返す人は、自分の人生を本気でよくしたいという目的を持って生きている人だということがわかってくるでしょう。ここまでで、「ネガティブな感情=不快感情」の扱い方は、理解できたでしょうか?

 話をもう一歩進めて、悩みについてもお話ししていきましょう。

 悩んでいる人は、自分に「悩め」と指示を出しています。逆に言うと、「悩め」という指示を出さなければ、人は悩めないものなのです。

 ではなぜ、「悩め」という指示が出るのかというと、ほしいものが手に入っていないから、悩むことで手に入れさせようとするためです。

 人は、自分の価値観に合うものが手に入らないとき、不快感情を発動して、気づくようにうながします。ですから、手に入るまで不快感情は止まりません。

 反対に、ほしいものが手に入ったら、不快感情を止めて、快楽感情を発動します。このように、人の心には価値観があるために、快楽感情と不快感情が発動します。そして常に、価値観による快楽感情と不快感情に、人は踊らされているのです。

 では、悩みを解消するには、価値観を消せばいいのでしょうか?この考え方では、解決しません。そうではなく、自分を俯瞰して見てください。そうすると、「価値観は、あってもいいけどなくてもいい」という状態にたどり着くことができるはずです。